平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
オイロダインウーハー。正常だったユニットはダンパーのスペーサーの作り直しで更に正常に成りました。
で、元々問題を抱えていた方のウーハー。

取り敢えず現状を把握したいので、例のアンプに繋ぎ100Hzを入れます。
ウソッ。音量が変わるのです。正常音量と半分程度に落ちた音量。更に問題は音量が下がった時には音も歪む。
こんな症状は初めての経験(今迄散々ユニットの分解は経験しています)。
最初はボイスコイルの途中でのタッチを疑った。ショートしかかっていて振動でタッチしたりしなかったり・・・。

取り敢えずテスターでDCRを計測。異状無し。念の為にコーン紙をコンコンと軽くたたいて異常が出るかのテスト。
此れも異常なし。ボイスコイルって結構太い線が巻かれているので機械強度は有る筈。
兎に角ばらす。

振動系を外して磁気ギャップを高圧エアーで掃除します。
掃除後、懐中電灯でギャップを照らしジックリと中を見たら・・・・・。
なんか黒い小さな物体。エアーでも吹き飛ばされないので磁性体と思われます。
竹ぐしをナイフで削りギャップの幅と同じ太さにし、ギャップの掃除。

本当に小さな破片が出て来ました。1個1個は小さいのだけれど、磁気によって真っ直ぐにつながりギャップを短絡。
つまり磁気ギャップをショートしていたのです。
コーン紙の振動で、此のショートが繋がったり離れたり。
その度に音量が上下。
と言う仮説を立てました。

こちらはダンパーの変形は無かったのですが、音質の統一の為にスペーサーも作り直し。
組み立ててテスト。

ヤッパリ・・・・。
音量の変化が治ったのです。
でも、ボビンとギャップの擦りは発生。
また例のアンプを使い微調整。
オイロダインのマグネットは無茶苦茶強力。
非磁性体の工具が欲しく成ります。

程1日掛けて最良の位置に固定(本当に疲れます。サインウェーブを大音量で聞き続けるのって脳の疲れが半端では無いのです)。

もう当分したくない・・・・(笑)。

で、此れから次の仕事のフライス加工に入ろうとしたら・・・・・。
昨日の雪で機械が冷え切り作業はムリ。今から暖房を掛けても温まる頃は夕方。
結露がやばいので石油暖房はNGなのです。

もう少し暖かくなるまでムリかなー・・・・・。


で、挿し木のバラ。絶好調です。


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オイロダインのウーハーの組み立ても無事に終わり、最終調整です。

ダンパーの取り付け穴は結構大きめでして、ボルトに対して可成りの範囲で動けます。
要は水平でのコイル位置の調整です。この調整がきちんと出来ていないとボビンと磁気ギャップがこすれ合います。

で、雑な人は指でコーン紙を押し引きして擦る音が聞こえなければOKと判断。ブッブーなんですよ(笑)。
正しくは低い周波数(100Hz前後)をスピーカーに加えて擦らない位置を見つけるのが正解です。
この時の周波数、自由に上下出来る発信機が必用。と言うのはある周波数でピンポイント的に擦る場合が多いのです。
経験上100~150Hzの間が多いですね。

ですので、周波数を上下しても擦らないポイントを見つけます。
ダンパーの取り付けネジを若干緩めてボビンの位置を調整するのです。

そんな訳で・・・・。


何時作ったんだろう?30年以上経っている様な気がします。6L6三結シングルアンプ。
この調整の為に作りました。と言う事はサインウェーブ以外を増幅した事のない可哀そうなアンプです(どんな音がするんですかね?)。
使い易い様に入出力端子は前面に有ります。

此処へ引っ越してから使った記憶が有りませんので、動作チェック。
オシロには綺麗な波形が映し出されました。

さーて、調整をしますか。


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雪でプレハブの入り口が塞がれ、中断していたオイロダインウーハーの調整。
ヤットプレハブに入る事が出来たので作業再開です。

今回の調整はダンパーの取り付け位置を変更して、ボイスコイルを磁気回路の中心に位置させる、と言う物。



3個の矢印の先がダンパーの取り付け位置。白いカラーは僕が旋盤で挽いた一個もの。
3個の厚みがそれぞれ違っていて、ダンパーの変形を修正します。

兎に角オイロダインのウーハーは簡単にばらせますので、この様な事が出来るのですね。


此れが元々付いていたカラー。
何の樹脂か不明(汗)。
と言うか戦前の樹脂ですので今では作っていない筈(現代の樹脂と比べる迄も無く・・)。

あ、今回のカラーはジュラコンで作りました。
硬度はジュラコンの方が高いので、音の反応は良く成る筈。

完成が楽しみです。

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最後にオイロダインのウーハーをバラしたのは略20年近く前。
判っていたつもりでも思い違いが有ったりして・・(汗)。

と言っても難なくこの状態。


こうして見るとマグネットに対して華奢なフレームです。
オイロダインはマグネットを支えているのは此の所為なのですね。
フレームの外周だけで押さえたら、フレームはぐんにゃり・・・。

先にバラしたのは、正常な方。
と言っても、外から僅かだけどボイスコイルが見えます。
つまり振動板が前に出た状態。
しかも拙い事に全周での出方が同じでは無い。まあ全周同じに捩じれるのは普通有りません。
3ヶ所で止まっているので、スペーサーの厚みを微妙に変えて調整をします。

取り敢えずギャップの掃除(エアーで吹く)をしたいんだけど表は雪交じりの雨。
コンプレッサーはプレハブに有るのでユニットを雨で濡らしてしまう。

そんな訳で、今日は此処迄。
続きは明日です(雨が止むと良いなー)。


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テーブルの上に乗せられたウーハーユニット。
オイロダインのウーハーです。

最近手に入れた友人が持ち込んで来た物。
彼曰く『片chが歪むんです。能率も低いし。』

散々弄って来た僕は直ぐにピコン。
『歪む方のコーン紙を手で軽く押したら擦ってない?』

オイロダインのウーハーは磁気回路が剥き出しですのでゴミが入り易いのです。それを防ぐのに純正の布袋が付属しているのですが、此れを被せると途端に音質が劣化。

そんな訳で僕も裸で使っていましたので、何度分解掃除をした事か(笑)。
イエね、オイロダインは振動系がネジ止めですので何度でも分解が出来るのです。
あ、気の早い貴方。じゃあ僕も・・・・。なんて考えてはダメですよ。それなりのスキルは必要ですので。

絶対にやっちゃダメなのが、ゴミが見えるからと先の尖った物で(ピンセットとか)摘まみ出そうとする事。ボビンは紙ですからねー・・・。
正しくは、振動系を全て取り外し磁気ギャップへ高圧エアーを吹き付けてはじき出す事です。
その後の組付けは狭い磁気ギャップの中心にボイスコイルをセット。

でね・・・(笑)。

懐かしいカンチレバーダンパー。現在のユニットにはまず見られません。
最近のユニットは略100%コルゲーションダンパー。
音的にはカンチレバー方式に軍配が上がりますが、ゴミが入っちゃう。

要はオイロダインを手にすると言うのはこの様なリスクを承知で入手しないといけません。
で、更にダンパーの写真。
ダンパーが捩じれて変形しているのが判ると思います。
こうなると、磁気回路の中心からボイスコイルが外れます。

ダンパーの修正はムリなので、フレームとダンパー間に1個物のスペーサーを作って挟みます。
ハイ、旋盤の必要な仕事なのです。
この様な機械を弄るには、旋盤とフライス盤は必須。

でもその様な機械を揃えて有る中古業者を知りません。

取り敢えず音は出る。それでOKと言う・・・・・・・・・(大汗)。

チョイ取り掛かるのが遅く成りましたが、この様な仕事を始めたら、途中で違う事をしたくないのですね。そんな訳で雑用を昨日までに全て終えました。

さあ、ジックリと掛かりますよ。



僕が使っていたオイロダインのダンパーはもっと変形していました。励磁型ですからねー・・。
買った当初はウーハーのコーン紙が抜けている。と思う程反応の鈍いウーハーでした。失敗したかも・・・・・(涙)。
で、このダンパーの変形に気が付いて位置を調整したら完全に復帰。
製造してからの時間が半端では有りませんので、変形しているダンパーは略100%ではないかと・・。

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ついに最終回。
今考えて見ると、僕と励磁スピーカーのつながりは略30年間。と言ってもマクソニックの各ユニットとオイロダインだけですので偉い事は言えません。

只、使ってもいないのに雑誌で得た(オーディオ店とかオーディオ仲間等)知識で知った振りで言っている人よりは良いかなーと・・・。

つくづく感じるのは電源の大事さ。此れを怠ったら励磁スピーカーを使う意味が有りません。

で、ちょっと考えて見ました。オイロダインは高圧ですので難しいですが、一般の12Vや24Vでしたらバッテリーでの駆動が簡単です。バッテリーの電力(直流)は非常に理想電源に近いのです。
昔マクソニック時代に実検して凄く良かったのを思い出します。只当時の充電器は常時接続が出来ませんでしたので、短期間のテストで終わってしまいました。

現在は常時接続の出来る充電器が普通に手に入ります(僕のバッテリー電源もこの充電器なしでは有り得ません)。
其処で、現在の充電器を使って、励磁電源を考えて見ました。



単純にバッテリーと充電器だけと言う訳には行かなそうです。

と言うのは充電器の出力が、奇麗な直流では無いのです。
安物の充電器は脈流(まだこの方が良い)ですし、僕の使っている充電器の出力はパルスです。
つまりこのパルス波形が励磁コイルへ流れてしまうのです。

これは非常に拙い。そんな訳で、充電器とバッテリーの間にフィルターが必用なのです。
その回路図が上記の物。
コイルはパルスを扱いますので空芯コイル。
コンデンサーの値は出力波形を見ながら決めます(コイルの値も同じ)。
此処で大切なのは、聴感では決めない事。必ず波形を見ながら決めるのが大事です。

いま、励磁型を使っていたらこの実験をしたくてウズウズ(笑)。

兎に角電源です。

で、もう一つ。
この辺はHPにアップしたかも知れません。
励磁スピーカーユニットって、トランスって気付いていました?
マクソニックでもこの考えは無かったですね。

良く考えましょう。ユニットの中には二組のコイルが有りコイルの磁気回路は共通。
完全にトランスですよね。励磁コイル側には直流を流すので、ボイスコイル側に出力は有りません。
でも、ボイスコイルには交流(音声信号)が流れます。と言う事は励磁コイル側に同じ波形が表れるのです、しかも高圧で。
巻き線比を考えればおのずと判りますよね。
今考えると悔しいなー。なんでその時に表れる波形をオシロで観察しなかったかを・・。

でも対策をして、それなりの結果を得られました。
対策方法です。
ユニットの励磁コイルの端子間をコンデンサーで繋ぐ。
此れだけで、励磁コイル側に起きる音声信号をキャンセルできます。
効果は可成りのものですよ。

で、少々電気を知っている方なら。電源側の出力に大容量のコンデンサーが入っているので関係ないのでは?

ハイ、この場合は電源とユニットを繋いでいるケーブルが理想の物として考えています。
ケーブルは、抵抗でコイルでコンデンサーです。
これを知っている方なら僕の方法を理解出来るかと・・。

まあ、店を開いて直ぐにはオシロも発振器も持っていませんでしたので・・(恥)。

励磁スピーカーを最良の状態で使いたいのでしたら、兎に角電源です。

10Wが沢山余っていたら、きっと励磁コイルを巻く事に成るかと・・・・。

                おわり



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段々と性能を上げて来た励磁型オイロダイン。
ある日、非常に音が悪いのです。でも数十分で元に戻ります。小一時間経つとまた酷い音。

装置を散々チェックしましたが原因不明(丁度真夏)。秋が近付き気温が下がると音の悪く成る時間は一緒なのですが、正常時の時間が段々と長く成って来たのですね。

で、まさか・・・・・・・。

その年の初夏、バッフルを新調しました。其れ迄オイロダインの直ぐ近くに有った励磁電源をラックに納めたので、結果として励磁電源ケーブルが長く成ったのです。

音の悪く成る時間を注意深く探っているとある事に気が付きました。
製氷機が作動していると音が悪く成る。

開店当時から働いている製氷機でして、今現在も活躍しています(40年間以上)。
製氷に掛かる時間は略30分間。タンクがいっぱいに成ると自動でストップ。タンクの氷が解けて(タンクはステンレス板1枚で断熱構造では有りません)再起動。

此の為に涼しく成ったら音の悪く成るのが減ったのです。
励磁電源とオイロダインが近かった場合には起きなかった現象でしたので、まさかでした。

対策は片チャンネル当たり7~8mのケーブル。気付く前は極普通の2スクエアケーブル(キャプタイヤ)。電流値が1A以下ですので全然問題有りません。電圧降下も測定誤差範囲。

でも、此のケーブル延長しか原因として考えられないので、ケーブルをスタッカードへ交換したのです。
本当にまさか、でした。
一発でこの現象は無く成ったのです。
只の直流と油断していたのが悪かったのですね。オイロダインの電源は220V。と言う事はインピーダンスが高いのです。結果外部ノイズに影響を受け易い。

此の長ーい励磁スピーカーを書いた記事。此れが言いたかったのです。
つまり励磁スピーカーは電源の影響を無茶苦茶受けます。
基本、ユニット1個に電源一台(これは譲れません)。つまりオイロダインなら4電源を必要としています。

アンプでも好結果を出してくれたルンダール社製のチョークコイル。
励磁電源にも使って見ました(それまでのマリック製からの交換)。

取り敢えず、片チャンネルだけ換えたのです。
左右の音が完全に変わりました(勿論ルンダールの方が好結果)。
あわてて、反対側のチャンネルも交換。

兎に角面白いのは、アンプで好結果を得られたパーツを励磁電源に使うと、同じ方向の音の変化をし、しかも変化量が電源の方が大きいのです。
つまり使用パーツによる音の変化が、アンプよりも電源の方が大きい。

電源がプアーですと励磁型ユニットのメリットは出せません。
励磁型ユニットってとってもお金のかかる方式なのですね。
其処迄やるとパーマネント方式を凌駕出来ます。

この辺を間近で見ていた僕のお客様(オイロダインのオーナー)。誰一人として励磁型を使おうとはしませんでした。
簡単に言うと、電源に掛かる金額はチョイ高額なアンプ並み。

でも、僕の場合は特殊な事情が有りまして励磁型でないと困る状況だったのです。
ご存知の様にウーハーのボイスコイルは内外共に剥き出しです。その為にオイロダイン純正の袋に入れて使うのですね。
で、この袋。使うか使わないかで音が結構変わります。もち、使わない方が高音質。

と言う事は、磁性体の埃をボイスコイルギャップへ吸い込むのです。僕は何回降ろして分解掃除をしたか判りません(土足の店内ですので砂鉄を含んだ土が入るのです)。

当時のオイロダインのすぐ後ろには旋盤とフライス盤。
もうピンと来たと言うか恐ろしい事をしていたなって気付いたと思います。
アルミの切削ならいざ知らず、鉄系を切削しますと、どうしても細かな鉄粉が舞うんですね。
コイツが磁気回路のギャップへ飛び込んで・・・・・・・。

で、励磁型ですと電源を落とせば磁気の強さは激減します。つまり鉄粉を吸い込みにくく成る(大汗)。
残留磁力が有りますので、ゼロには成らないのですが、かなり防げていたと思います。
そう言う意味では、励磁型への交換は正解だったのかも知れません。

励磁スピーカーに本領を発揮させるには、電源を如何にシッカリとしたものにするか。

オイロダインの電源の中身を言いますと、電源トランスからの高電圧を整流管で直流(正しくは脈流)にし、その後チョークインプットでリップルフィルター。
勿論チョークは2段です。
そのチョークを交換したら、ムチャ音の変化が有った。
勿論リップルフィルターのコンデンサーでも凄く変わります。
最終的にはフィルムコンデンサーを使いました。

今愛用しているケミコンでもテストをしたいですね。
たかが電源、されど電源なのです。

                つづく

次回が最終回に成ると思います。励磁型スピーカーを使う上で、チョットした効果的な方法を書きたいと思います。

で、時効の話。
開店当時、マクソニックとは非常に親しく付き合っていました。励磁型の20cmフルレンジの音決めには僕も結構かかわっていたのです。

当時の技術部長の話(その後2代目の社長に)『20cmフルレンジには世界的な名機が多い。それらと比べられるので、電源にお金を掛けると価格の点で勝負に成らないのです。』
実情でしょうね。メーカーの大小にかかわらず、メーカーはコストとの勝負が何時も控えています。
その辺を開放したいピンキー君なのです。

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励磁スピーカーの使い方を書こうと始めたのに、寄り道ばっかりで中々本題に入らない(大汗)

少々お付き合いの程を・・m(__)m
フレームを作り直し、励磁コイルも巻き直した。
此処で終わるピンキー君ではない。

その後ネットワークを何度か作り直し、遂にマルチアンプ駆動(ネットワークですけどね)。
オット、その前にツィーターの追加をしました。色々と確かめて最終的に選んだのはフォステクスのT500。

オイオイ、天下のオイロダインにフォステクスかよ?という声が聞こえそうな気がします。
まあ、此処迄オイロダインを弄っちゃうと、天下のと言う感情は全くなし。
この頃オイロダインのローン(銀行から借りた)も終わりましたし(笑)。

マルチアンプと言っても、ウーハーとドライバーを別のアンプで鳴らし、ツィーターはネットワークでドライバーと繋いでいた。

そんな時、貸し出し中のパワーアンプが帰って来たのです。
殆ど冗談のつもりでツィーターもマルチアンプ駆動。

この時は本当に驚いた。高域が変わったのではなく、低音楽器が明瞭に鳴り出した。
よく高域を変えると低域が変わる。とは聞いていましたがこの時は本当に実感。

何なんだ・・・・・・。

この辺からスピーカーユニットの数だけパワーアンプが必用。となったんですね。
オイ、お金がいくら掛かるのよ?

その前後かなー?オイロダインのユニットをシッカリと測定。
常識的な話ですが、38cmウーハーに500Hzを持たせてはダメ。
ドライバーもほんの形状は良いのですが何しろ小さい。
エッ?って思われるかも知れませんが、一般のあのサイズのホーンは開口部の角度が90度と言うのが普通です。
オイロダインのホーン開口部は180度開いているのですね。
結果、開口部迄ホーンロードが掛からない。
実測すると低域は800Hzが限界。

ドンドン泥沼に入って行きます。

            つづく


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