平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
数年前、12BH7Aと言う真空管を探しました。動作点は12AU7(ECC82)に近くて、大容量管だったのです。
ECC82はプリアンプで大活躍。ECC83(12AX7)では絶対に出せない音楽を奏でていたのです。僕は12AX7(ECC83)は大っ嫌いですので・・。
単にコストダウンに合っている球と思っています。

で、ECC82を其れ成りに使い倒しました。
これ以上は無理だよね。
そんな時に頭に浮かんだ12BH7A。ネットで探しましたよ。若干の在庫は有るがもう作っていない。
お客様に渡すのが大前提の僕のアンプ。将来のアフターを保証出来ない真空管の使用は絶対にNG
(最後の入荷です。希少真空管を使ったアンプです。ナンテ後のアフターはどうするんでしょうね、笑)。
そんな中に12BH7Aと差し替えの効く真空管の情報。
動作条件を散々調べて12BH7Aよりも重い負荷に耐えられる・・・・・。

それが新型管のECC99だったのです。
現物を見て驚愕。
昔の(真空管全盛の)技術では作れない球。現在の技術だから作れた球。

ハイ、昔の技術をあり難がっているのは宗教です。技術は間違いなく進んでます。
当時としては優れていましたが、ウェスタンを有り難がっている人は・・・・・・?
ハッキリ言いますと、ウェスタンは時代遅れです。其れを有り難がっているのは宗教です。

当時の技術では作れなかったECC99にぞっこんだったのです。
で、導入。山勘で動作点を設定。
見事に無事に働いて音質的にも合格(当時のドライブアンプです)。

見事にウェスタンのVT25よりも良い結果を出せたのです(当たり前なんですけどね)。

ドライブアンプで成功したECC99。
甘くは無かったですね。
構造上も気には成っていたんですけど、動作点にシビア。
要は山勘の最初の動作点がまぐれで当っていた。

まあ、自分のアンプで散々勉強しました。
ECC99の良い点とヤバイ点。

非常に良い球ですが、使用条件にはシビア。
でも、動作点をキッチリと合わせた99の出す音は・・・・。




99は微小信号には合いません。ある程度大きな信号にマッチします。
僕の使い方を見れば納得出来る筈です。

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軸受けが出来ましたので、シャフトを差込細かなチェック(主に高さの確認)。
僕のアームは高さ調整が出来ませんので、ターンテーブルの高さにはシビアなのです。

測定の結果はピッタシカンカン。
で、オット・・・と成った。

シャフトの2次加工が出来ていない。

(写真は加工後)。

オイルバス方式ですので、軸受けの中にはタップリとオイルが入っています。オイルを入れなければ、シャフトはスルスルと入っていくのですが、オイルが入ると絶対に入りません。

シャフトと軸受けの間に油膜が出来て、内部の空気が出られなくなるのです。
其の状態でシャフトを押すと完全に空気バネ(笑)。
押すとピョコン。クリアランスがキッチリと狭められていますので、まず永久に入らないかと・・(実験はしていないけど、数時間では全然抜けない)。

其処で、空気を逃がす溝を掘ります。


エアーリューターでキュイーーーーン。
見た目は悪いですけど、動作としては十分以上。
この溝から空気が逃げて、スルスルと入ります。

で、もう一箇所の問題。


シャフト下側の先端。此処には鋼球が収まる凹みが作られています。
この凹みに溜まった空気は・・・・・・・・・。

実は先端中心に、深さ20mm程度の2φの穴が開いているのですね。
其の穴と・・・・・・・。


この横穴が繋がっています。
つまり凹みに溜まった空気は縦穴から横穴へ抜け、螺旋溝で上へ抜けるのです。

まあ、バカバカしいかも知れませんが、拘りです。
空気は内部に残さない。

もうご存知ですよね。このシャフト、フランジ直径(80φ)の丸棒(45C)から削り出されます。
無駄の局地ですが譲れません。





シャフトの磨耗は、重量を受ける下部先端に集中しますが、先端に鋼球が納まり、シャフトと一緒に回転しますので、シャフトの磨耗は有り得ません。
磨耗は鋼球のみ(と言って20年以上使われている方でも、鋼球の磨耗は起きていないんですけど・・)。
万が一磨耗したら鋼球だけの交換でおしまいです。数十円の出費で済みます。
心配な方には、スペア鋼球を渡していますが、交換した話は一切聞いていませんので・・・・。

親子三代でも使い切れないのかも・・・・・。

チョイと思いついた話。
世の中にはメンテナンスフリーを謳い文句にしている機械がゴロゴロ。
メンテナンスフリー、カッコイイですよね。メンテをしなくても動きます。
僕はこの言葉をこう理解しています。
メンテは不可能、動作がおかしくなったら買い換えて下さい。
民生機に多い言葉です。まあ素人相手の機械です。メンテなんてしません。でメンテナンスフリーの設計を。
間違っていませんよ。一般消費者はメンテナンスなんて絶対にしません。
其処でメーカーはメンテナンスフリーの設計を・・・・。
この場合、数年程度は問題なく動きます。その後調子が悪くなったら買い換えてね。
と言う意味なんですね。
対して業務用機。もの凄い耐久性を前提に設計しています。
問題は、決まった期間でのメンテナンスが前提。
此れをしないと、民生機よりも短時間でアウト。
決まったメンテナンスをしていれば、民生機とは全然違う(10倍以上の耐久性)長寿命が約束されます。
僕が、学校を出て直ぐに付いた仕事は完全にプロ仕様の仕事。
つまり僕の作る機械はプロ仕様です。
定期的なメンテを必要としますが(いたって簡単なメンテです)、其れを実践して頂ければ、一般市販品とは比べ物に成らない長時間での使用が可能です。

で、一つの問題。長時間を前提に作っています。
最初から本来の性能は出せません(出せたら、その後は下降線)。
2~3年(機器によってはそれ以上)のジックリとした使用をお願いします。
本来の持ち味はその後に発揮されますので・・・。

要は、ジックリと付き合っていただけるお客様に合わせて作っています。

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暑さに負けて、母屋でシールドケースの作成。
そんな時にヤマトのお兄ちゃん。

中身を開けたら・・・・・・・。


製作中のプレーヤー。ウエイトシャフトとウエイト本体のメッキが上がって来ました。
素材は真鍮。其れへハードクロムメッキを掛けています。

で、つい拘るピンキー君。音には関係ないのだけれど、シャフトとウエイト間のクリアランス。
ギリギリに詰めたい。

真鍮無垢の侭なら簡単だけどメッキを掛ける。
ギリギリに削るとメッキの厚み分だけ・・・・。

そう、入りません。

で、メッキの厚みを想定して、若干緩めに作ります。
殆ど山勘の世界。

出来上がって来たシャフトをウエイトの穴に差し込む。
オイオイと言うクリアランスに出来ました。
拘らなければ良い世界なんですけどね(笑)。


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8月ももう終わりなのに残暑がきつい・・。
そんな訳で今日も薄暗い時間から作業を開始です。





ターンテーブルの軸受け。
何度作っても緊張する部品です。
単に切削だけなら簡単なのですが、内部に砲金のスリーブを圧入。

内部に入るオイル量を増やす為に、スリーブは上下2分割。
底の部分には鋼球を納める加工。

全て、滑らかにターンテーブルを回す為の物です。
昔は、砲金の無垢で作りました。重量を少しでも重くしたい。
そんな目的だったのですね。
ある日実験。砲金は鳴き易い金属です。鳴き方も耳に五月蝿い。
そんな訳で、鳴き難いアルミに砲金スリーブと言う構造にしてみたのです。
掛かる工数は倍以上。
でも、気に成ったらやって見るしかない。

結果、間違いなく静かに成りました。
それ以来、アルミに砲金スリーブを焼き嵌め。と言う製法が続きました。
この場合はスリーブが一本物。上下が一体です。

構造を考えると判ると思いますが、砲金スリーブに掛かる横方向の力は、上下端に一番掛かります。中間部には殆どかかりません。
ならばスリーブを上下に分割。中間部分にはスリーブを入れない構造にしたんですね。
目的は先にも書きましたオイル量の増加。

たかが軸受けです。でも其れ成りに歴史を持っています。
今の形に成ってから、僕は一切疑問を持たなく成りました。
フリクションが少なく、長寿命。

親子三代使える軸受けです(笑)。

勿論、オイル交換はきちっとするのが条件ですが・・。



推奨オイルは、モーターオイル(エンジンオイル)の0W30~10W40程度の粘度です。
此れよりも粘度が高いと低温時に回り辛くなる可能性が有ります。
また、糸の寿命からもお勧め出来ません。
グレードはエンジンと違い、きつい条件では有りませんので、極普通の市販品で大丈夫です。
新品時は最初が半年、次は1年後。その後は2年間隔の交換で十分です。


昔々、僕が薦めていたQRKのターンテーブルを中古で求めた方が居りました。
地方のオーディオショップから購入されたのですね。
オーバーホール済み。と言うふれ込みでした。
僕がQRKに詳しいのを知っていた其の方は、僕へチェックを依頼。

開けて見て目が点。
軸受けのオイルは完全に変質していて。シャフト先端も異常磨耗。
それ以来、僕の所で販売した以外のQRKは、一切チェック等を受けるのを止めました。
僕の知っている範囲では、信用できる中古販売業者を知りません。

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ヤット1個完成。
メッシュですから、そっと扱わないとグシャッ。



早速、ニッケルフェルトとの聞き比べ(と言ってもラックに乗っていないので、音楽ではなくノイズの聞き比べです)。

ウーーーーン、判んない。ノイズ量は両方とも同じ。でもノイズの質が違うのです。
銅メッシュの方が若干耳当たりが良いかな?

ほんの僅かです。


上手く丸まったと思いませんか?
実はジュラコンの丸棒を旋盤で削って、型を作ったのですね(笑)。

オット、大事な追記。
基本的にシールドケースを外してもノイズは増えません(僕の所では、笑)。
フルボリュームの状態で、指を初段管に近づけると(1~2mm)盛大にノイズが出ます。
勿論触れれば更に大きく。
シールドケースを被せると、指を近づけても平気になるんですね。
で、ニッケルフェルトの場合は、周りを覆っているだけですので、上部に触れるとブーン。
銅メッシュは上部も覆っているので、あらゆる方向で平気です。

つまり今回のシールドケース。環境によって必要な場合がある。と言う事です。

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今日も早朝から旋盤です。本日作ったのはターンテーブルの軸受け。可也神経を使う作業です。
アルミ部の切削は終え、砲金のスリーブへ掛かろうとしたところで、腰がイテテ。
無理はやめます。

そんな訳で・・・・・・・・。


昨日入手した冷却ファンとACアダプター。真空管の直ぐ傍に設置しますのでACモーターは厳禁。
DCモーターでも作動電圧の低い物をチョイス。

DC5Vの物を見つけました。
勿論DC端子にはコンデンサーをぶら下げます

とりあえずテスト運転。
騒音のチェックですね。五月蝿いのは勘弁。
十分に合格点です。ファンに耳を近づければ聞こえる程度。
4cm角の小型ですので、トランスケースの内側に収まります。

ノイズの関係から、3段目の端(フロントパネル側)に取り付ける予定です。
送風量も大きく有りませんから、両面テープで貼るだけでOKですね。

右chと左chのシールドケースは形状を変えます。
勿論真空管の冷却の為です。

で、これから初段管のシールドケースを例の銅メッシュで作ります。
ニッケルフェルトとどちらが効果が有るかの実験です。

銅メッシュの方が放熱では有利と思うのですが・・・。


チョイスしたファンは国産の有名メーカーです。
でも来たのはメイドインベトナム(笑)。
DCモーターですが+-を逆接続すると回りません。
回転系の保護の為にダイオードでも入っているんですかね?

後の問題は耐久力です。
出所の判らないローコスト品よりは信頼出来るとは思っているのですが・・。

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通電を開始してから4時間20分。
1時間前から温度上昇はなくなりました。
要は温度的に飽和状態。
勿論温度は100℃を切っていて、十分な安全範囲。

で、可也重要な問題点。
今回左右のchに電源を繋ぐ為にアンプの位置を変えました(接続ケーブルの長さの関係)。
微妙なんですけど、今度の位置の方がエアコンの風を・・・・・・・・。

要は本当に微妙な風でも温度は下がる(エアコン直接の風は当っていません)。

つまり、今回のトラブル。ラックに納めた時に上部の隙間が少なかった。
後は開いているから大丈夫だろう、って甘かったみたいです。
考えれば判るんですが、後ろだけが開いている。つまり空気の流れが出来ない(入り口だけで出口が無い)。

今回、下に敷く板を発注。上部に2cmの隙間が出来ます。これで出口もOK。
現在のフロントパネル上側とラックの隙間。ほんの数ミリ(2~3mm)。
此れでは熱気が抜けませんよね。
勿論、強制空冷(ファンとかを使う)なら十分な隙間ですが、自然循環には足りなかった様です。

構造上、右chと左chの温度差は平均値で10℃。ヤハリ両側を塞がれているのは効いています。

今回の測定結果で、下に敷く板の厚み減で十分対処出来そうですが、冷却ファンを買ってしまった。無駄にはしたくない。
と言うけちけち根性で、右chだけにファンを設置します。

きっと、右側の温度の方が低く成るんだろうなー・・・・。



あ、密閉してあるシャシ温度も測りました。条件に関係なく30℃が目一杯。アルミシャシですので、内部温度も30℃+程度と・・・・。
ステンシャシの場合はご用心(ステンよりは良いけど鉄板もご用心)。

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