平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
僕がギヤボックスを作り出してから20年近く成ります。当初僕のお客様はアイドラードライブの方が殆ど。つまりS/N比が良く無いプレーヤーだったのです(音は良いですけどね)。

其れからの移行には皆さん満足して頂けました。
で、HPなんぞを作ってしまったものですから新規のお客様が増えて来ました。その方たちのプレーヤーはDDが殆どだったのです。
そう成りますとギヤボックスのS/Nの悪さを指摘され出したのです。もう其の頃にはレコードプレーヤーに使えるシンクロナスモーターなど作られていませんでした。

モーター其の物の振動が多かったのです。

其処から僕の苦労が始まりました。兎に角S/N比を上げる事。何度ものマイナーチェンジを繰り返しヤット今の状態に成りました。

僕の装置にバッテリー電源を導入したのも60Hzでのテストをしたかったのが原因です。
当時60Hz地域からの制作依頼が何件か有り、こちらのテストではOK。現地では・・・・?
と言う事が起きたのです。此処で60Hzでテストをしたい。と言う事で高額な60Hz電源も購入しました(此の電源、その物の騒音が大きく使いものに成らず埃を被っています、汗)。

結局今のバッテリー電源でのテストをしたのです。色々と原因が見つかりました(内容はヒミツ、笑)。

そんなこんなの繰り返しで静かなギヤボックスに変わって行ったのです。

で・・・・・・。


只今の作業台の上。一番初期型のギヤボックスです。此れを最新の物と同じS/N比にしちゃえ・・。
写真からお判りかと思うのですが、モーターは底板プレートに乗っているだけで取り付いていません。位置出しの確認です。


こんな具合にモーターは簡単に外れます。


位置出しが完璧に出来ましたので、ギヤボックス本体も外し、底板プレートへモーター取り付け用のネジ穴を開けます(勿論シッカリとした図面を引きました)。

最初期のギヤボックスは底プレートの長さが短く、かと言って新しい底プレートを作りますとコストの面でお客様に迷惑を掛けます。
と言う事でシャフトの長さを短くする事で解決させました。

これからフライス盤でネジ穴加工です。

この底板、幅が130有りますのでバイスには咥えられません(限界が85mm)。
そう成ると板の位置出しの方がネジ加工よりも時間が掛かります。でも位置出しが狂ったら今迄の苦労が水の泡。ジックリと納得する迄位置出しをします。

今日中には回り出す予定です。

追記。シンクロナスモーター、50Hzと60Hzでは出力が変わります(60Hzの方が小さい)。此れにも苦労しました。一番振動の少ない小型モーターですと60Hzでは回らないのです。
現在は改良されて60Hz地域でも小型モーターを使用出来る様になりました。これも60Hzでのテストが出来る様に成ったからです。

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数日前(日時が判ると個人情報が)、行きつけのスーパーへ食料調達(片道22kmも有るんですよ、涙)。
僕のお気に入りは屋上の駐車場。

正面入り口前の駐車場は込んでいるし、屋上からの方が店内に近い。
で、愛車から降りて気付いた車が1台。エーーーーーーーーー?

買い物が終わっても駐車していたら、記念写真を撮ろうと企んだのです。
結構な買い物量(10日分)だったので、其れなりの時間は掛かっていたんだけどまだ駐車している。

と言う事で・・・。



其れなりの高級車です。ご丁寧に老人シールが車体の両サイドにも貼ってある(僕は前後だけ)。
この駐車の仕方に疑問を感じないのですかね?
シールをサイドにまで貼ってあると言うのは、自分の運転がヤバイと感じているかと・・。

地元ナンバーなら公共交通機関が略ゼロなので仕方が無いかなと思うんですけど、都内のナンバーなんですよ。公共交通機関はたっぷりある筈だし、この高級車の代金をタクシー代に使ったら無茶苦茶乗れる筈。

つい、数年前の悲惨な事故を思い出してしまいました。


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カップリングが1日遅れて入荷(オリエンタル目)。
カップリングも単に組むだけでは駄目です。スラスト方向のクリアランスを微妙に取るのですね。
つまりカップリングとモーター内のベアリングにスラスト荷重を掛けないのです。
スラスト荷重はギヤボックス内の軸受けで全て受ける構造です。

この調整をしないとモーター内のベアリングに余計な荷重を掛けて、寿命の低下と騒音発生を招きます。

で、大切な事。初期馴染みで微妙に狂うんですよ(狂わない個体の方が多い)。2割程度の個体が微妙な狂いを起こします。

で・・・・・・。



慣らし運転です。経験上、数時間で初期狂いは出るのですが、用心で数十時間運転をします。
で、ご存知と思いますがウォームギヤ、互いの歯車がこすれ合って動くのですね。此のこすれ合うのは普通のギヤ(平歯車、傘歯車等)の比では有りません。

結果、初期運転で出る微細な金属粉も多いのです。
その為に、初期馴らし中に数回のオイル交換。此れを行ってから初めて納品に成ります。



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僕のミスで中断ですけど、カップリングが来たら直ぐに動かせるようにします(明日入荷予定)。

一応、モーターシャフトとギヤボックスシャフトの結合にはフレキシブルカップリングを使っています。正直、昔はカップリングを信用し過ぎていました。フレキシブルなんだから・・・・・。

で、モーターブラケットの精度を上げたらカップリングの問題が出て来ました。フレキシブルと言ってもお互いのシャフトの直線性を上げないと微細な振動の発生源に成ってしまうのです。

ある意味、一番大切な工程。



治具を使ってお互いのシャフトの直線性を上げる作業です。
と言って長孔が必要な程の誤差は論外です。
ボルトに対して若干大き目の取り付け穴との隙間での調整です。

何度もしている作業ですが気を使います。
オット、治具部のアップ。



二つ割りのアルミブロックの中心に、シャフト径にピッタリの溝が彫って有ります。
このブロックをボルトで締め上げれば二本のシャフトの直線性は嫌でも出る構造です。

で、締め上げて、ギヤボックスとモーターの取り付け位置を決めればOKでは無いんですね。
この治具を手でくるくると廻し、一番軽く回転する位置を探すのです。
勿論ギヤボックス内はオイルを注入済みです。
オイルを入れないで調整しますと油膜の厚み分が狂うのです。

その様な訳ですので、オイル交換用のボルト以外に触るのは厳禁です。
この治具が無ければ絶対に再調整は不可能です。

今の所、弄った方は居ませんので安心しています(笑)。

つまり、強くぶつけたり落としたりしますと微妙に狂う恐れが有ります。その場合は送り返して下さい。再調整をして届けさせていただきます。

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ギヤボックス本体が組み上がりました。
滅茶苦茶丁寧に組んでいるので時間は掛かります(完全に自己満足)。
で、試運転に入りたいんだけどやっちまった・・・・・・。



ストックは有ると思っていたモーターとのカップリング。有るには有るのだけれど・・・・・・。
シャフト径(穴径)が違う。慌てて何時もの商社へ発注。17日に届くのですが作業はストップ(汗)。

で、ちょいと解説。本体上面にある二つのボルト。ボタンキャップはフィラーボルト。つまりオイルの注入口。もう一つの六角ボルト。
拡大しますね。


横に小さな穴が開いています。この穴、ボルトの中心に開けた穴と繋がっています。
つまりブリザーボルトです。

以前此処へ取材に来た雑誌屋さん。僕は絶対に言っていないんだけど雑誌の記事中で完全密閉って書いて有った。
この構造で完全密閉ってかなりヤバいのです。
内部のオイルや空気は温度で膨張したり収縮したり。
判りますよね。もしも膨張したらオイルシールを押し出します。
必ず内部の空気を外部とつなぐ穴が必要です。と言って大きな穴だとオイルを吹いてしまう。
そんな訳で、ボルトの中心に穴を開け、六角の頭の横面にその穴と繋がる小さな穴(1mm有りません)を開けて有るのです。

内部容量から言ってこの程度の穴で十分なのですね。
今日は此のブリザーボルトを作った所で中断です。


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太陽光発電を取り付けてから間もなく2年に成ります(一昨年の5月に取り付けました)。
毎月、月の初めに電気代が銀行口座より引き落とされます。

その実績です。
一昨年の3月。¥20552(電気料金の上がる前)
昨年の3月(太陽光発電を使っている)。¥14254(例の室外ボイラーも付いた状態)。電気料金は若干上がっていたのかなー・・・?

さて本年の3月。勿論電気料金は無茶上がっていますよね。その状態で¥8686(驚)。その上余った電気の買取代金が¥2983。実質僕が払うのは¥5703。太陽光発電のローンが¥15715。
太陽光を付ける前の電気料金とほぼ同じですが、値上がりを計算に入れると大幅な黒字です。
この時期、太陽光発電量はまだまだ少ないのにこの結果。

太陽光発電を付けると、イヤでも節電の仕方を覚えられます。例のオモチャが役に立つのですネ。

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只今の作業机の上。


ギヤボックスの組み立てに入っています。
左側はギヤボックスの本体(この中にウォームギヤが組み込まれます)。
右側がモーターブラケット。
作り出した当初はモーターブラケットにモーターメーカー純正品を使っていました。
此れが問題で、機械精度が良くなかったのですね。
まあ普通に使うには良いんでしょうけど、兎に角低振動を求めるレコードプレーヤーに使うには無理が有りました。

その後知り合いの精密機械加工屋さんに特注して、良い物は出来たのですがモーターの振動を伝えてしまうのです。

昔(50年位前)でしたらこんな苦労は無かったのですが・・・・・・。
当時のレコードプレーヤーは廉価機器にはインダクションモーター。高額機器にはシンクロナスモーターが使われていました。
つまり、レコードプレーヤーの要求を満たす事の出来るモーター(低振動)が作られていたのです。

世の中DD一色に成り、サーボモーターの全盛。低振動のシンクロナスモーターが必要なく成ってしまったのですね。結果生産は終了。

所がへそ曲がりのピンキー君はサーボモーターとシンクロナスモーターの音の違いに気づいてしまった。

そんな訳で、シンクロナスモーターに拘っているのですが問題は振動対策。
モーターの振動をターンテーブルに伝えない。しかし正確なモーターの回転はシッカリと伝える。
この矛盾した条件を納得させるのに苦労をしたのです。

で・・・・・・・・。

モーターブラケットの取り付け穴に嵌っている樹脂パーツ。



この辺に詳しい方でしたら色でハハ~~~ン。
MCナイロンです。ナイロンと言いましても凄く硬く、旋盤で切断した物を取り損ねて下に落とすとカラ~~~ンと言う音がします。

ナントこいつが上の条件を満たしてくれるのですよ。
つまらん実験で偶然に発見しました。
樹脂って、微細な変形には豆腐みたいなのですが、それ以上の変形には無茶苦茶な強度を持っています。
この辺が上手く行ったみたいですね。


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技術は間違いなく進歩しています。
此処で問題なのは、その技術が人間の感性と合っているか・・?

オーディオの世界が其の良い例ですよね。
最新機器には目もくれず、骨董品と言って良い昔の機械が珍重されています。
まあ、僕の使っているスピーカーユニットも骨董品ですし、この世の中真空管なんて・・・。

でね・・・・。
要は、今の技術者が音を判っていない。結果素晴らしい技術を良い音(正しい音)へ導く事が出来ない。ナンテ・・。
まあ、最先端の技術者が音の・・・・・。なんて気にしていないのが極普通と思いますし・・。

で、超変人のピンキー君です。
音を気にして最新の技術(最新のパーツ)を使いたい。

そんな思いでアンプを作って来ました。
最新のパーツ。本当に素晴らしいです。世の中で褒められている骨董品パーツと比べるも無く・・。

間違いなく技術は進歩しています。



エーーー。以前、ウェスタンの配線材を使ってアンプ改造を頼まれた事が有ります。その線材、オイロダインのボイスコイルとそっくりだったのです。要は鉄分の多い銅線。
銅って異種金属と繋がり易いんですよね。当時の技術では此れが限界だったのかと・・・・。

あるユーザーの仰っている言葉。
『ウェスタン時代は鉱山から取れた鉱石だけで銅を作っていた。今は色々な金属の混じった物から銅を作っている。だからウェスタン時代の銅は作れない。』

正しいですよ。当時の銅は作れない(大笑)。
当時の精錬技術と現在の精錬技術を判っていません。
そんな訳で、当時の銅線は鉄分(異種金属)の多い物で、現在の銅線の純度は・・・・・・。

オーディオ界の都市伝説。思いっ切り笑えるものが多過ぎます。

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