平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
昼飯も喰わずに頑張りました(笑)。


モーターを一回り小型にし、モーターを樹脂でフローティング。更にオイルシールをフリクションの少ない物へ交換。先にも書きましたがモーターへ連結する横シャフトの長さを短縮。書いちゃうとこれだけなんですけど結構な手数が掛かっています。

30分程前に回り始めました。今迄とはウソッと言う位静かに成っています。
でも、オイルシールを交換して横シャフトを短縮したと言う事はギヤを外しています。

同じに組んだつもりでも、微妙に当たる歯面の位置が変わるのですね。
結果、30分の運転でオイルは汚れて来ました。

此の侭あと1時間位運転して1度目のオイル交換。一晩運転して2度目のオイル交換。
その後24時間運転後に3度目のオイル交換。
その後に納品です。


エーーーーー。

例のシャフトの直線性を出す治具。
後の治具は新型ギヤボックス用。
手前は旧型のギヤボックス用です。旧型を作っていた頃にはこの治具が有りませんでした。
その為にエライ苦労をして位置出しをしていたのです。

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僕がギヤボックスを作り出してから20年近く成ります。当初僕のお客様はアイドラードライブの方が殆ど。つまりS/N比が良く無いプレーヤーだったのです(音は良いですけどね)。

其れからの移行には皆さん満足して頂けました。
で、HPなんぞを作ってしまったものですから新規のお客様が増えて来ました。その方たちのプレーヤーはDDが殆どだったのです。
そう成りますとギヤボックスのS/Nの悪さを指摘され出したのです。もう其の頃にはレコードプレーヤーに使えるシンクロナスモーターなど作られていませんでした。

モーター其の物の振動が多かったのです。

其処から僕の苦労が始まりました。兎に角S/N比を上げる事。何度ものマイナーチェンジを繰り返しヤット今の状態に成りました。

僕の装置にバッテリー電源を導入したのも60Hzでのテストをしたかったのが原因です。
当時60Hz地域からの制作依頼が何件か有り、こちらのテストではOK。現地では・・・・?
と言う事が起きたのです。此処で60Hzでテストをしたい。と言う事で高額な60Hz電源も購入しました(此の電源、その物の騒音が大きく使いものに成らず埃を被っています、汗)。

結局今のバッテリー電源でのテストをしたのです。色々と原因が見つかりました(内容はヒミツ、笑)。

そんなこんなの繰り返しで静かなギヤボックスに変わって行ったのです。

で・・・・・・。


只今の作業台の上。一番初期型のギヤボックスです。此れを最新の物と同じS/N比にしちゃえ・・。
写真からお判りかと思うのですが、モーターは底板プレートに乗っているだけで取り付いていません。位置出しの確認です。


こんな具合にモーターは簡単に外れます。


位置出しが完璧に出来ましたので、ギヤボックス本体も外し、底板プレートへモーター取り付け用のネジ穴を開けます(勿論シッカリとした図面を引きました)。

最初期のギヤボックスは底プレートの長さが短く、かと言って新しい底プレートを作りますとコストの面でお客様に迷惑を掛けます。
と言う事でシャフトの長さを短くする事で解決させました。

これからフライス盤でネジ穴加工です。

この底板、幅が130有りますのでバイスには咥えられません(限界が85mm)。
そう成ると板の位置出しの方がネジ加工よりも時間が掛かります。でも位置出しが狂ったら今迄の苦労が水の泡。ジックリと納得する迄位置出しをします。

今日中には回り出す予定です。

追記。シンクロナスモーター、50Hzと60Hzでは出力が変わります(60Hzの方が小さい)。此れにも苦労しました。一番振動の少ない小型モーターですと60Hzでは回らないのです。
現在は改良されて60Hz地域でも小型モーターを使用出来る様になりました。これも60Hzでのテストが出来る様に成ったからです。

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カップリングが1日遅れて入荷(オリエンタル目)。
カップリングも単に組むだけでは駄目です。スラスト方向のクリアランスを微妙に取るのですね。
つまりカップリングとモーター内のベアリングにスラスト荷重を掛けないのです。
スラスト荷重はギヤボックス内の軸受けで全て受ける構造です。

この調整をしないとモーター内のベアリングに余計な荷重を掛けて、寿命の低下と騒音発生を招きます。

で、大切な事。初期馴染みで微妙に狂うんですよ(狂わない個体の方が多い)。2割程度の個体が微妙な狂いを起こします。

で・・・・・・。



慣らし運転です。経験上、数時間で初期狂いは出るのですが、用心で数十時間運転をします。
で、ご存知と思いますがウォームギヤ、互いの歯車がこすれ合って動くのですね。此のこすれ合うのは普通のギヤ(平歯車、傘歯車等)の比では有りません。

結果、初期運転で出る微細な金属粉も多いのです。
その為に、初期馴らし中に数回のオイル交換。此れを行ってから初めて納品に成ります。



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僕のミスで中断ですけど、カップリングが来たら直ぐに動かせるようにします(明日入荷予定)。

一応、モーターシャフトとギヤボックスシャフトの結合にはフレキシブルカップリングを使っています。正直、昔はカップリングを信用し過ぎていました。フレキシブルなんだから・・・・・。

で、モーターブラケットの精度を上げたらカップリングの問題が出て来ました。フレキシブルと言ってもお互いのシャフトの直線性を上げないと微細な振動の発生源に成ってしまうのです。

ある意味、一番大切な工程。



治具を使ってお互いのシャフトの直線性を上げる作業です。
と言って長孔が必要な程の誤差は論外です。
ボルトに対して若干大き目の取り付け穴との隙間での調整です。

何度もしている作業ですが気を使います。
オット、治具部のアップ。



二つ割りのアルミブロックの中心に、シャフト径にピッタリの溝が彫って有ります。
このブロックをボルトで締め上げれば二本のシャフトの直線性は嫌でも出る構造です。

で、締め上げて、ギヤボックスとモーターの取り付け位置を決めればOKでは無いんですね。
この治具を手でくるくると廻し、一番軽く回転する位置を探すのです。
勿論ギヤボックス内はオイルを注入済みです。
オイルを入れないで調整しますと油膜の厚み分が狂うのです。

その様な訳ですので、オイル交換用のボルト以外に触るのは厳禁です。
この治具が無ければ絶対に再調整は不可能です。

今の所、弄った方は居ませんので安心しています(笑)。

つまり、強くぶつけたり落としたりしますと微妙に狂う恐れが有ります。その場合は送り返して下さい。再調整をして届けさせていただきます。

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ギヤボックス本体が組み上がりました。
滅茶苦茶丁寧に組んでいるので時間は掛かります(完全に自己満足)。
で、試運転に入りたいんだけどやっちまった・・・・・・。



ストックは有ると思っていたモーターとのカップリング。有るには有るのだけれど・・・・・・。
シャフト径(穴径)が違う。慌てて何時もの商社へ発注。17日に届くのですが作業はストップ(汗)。

で、ちょいと解説。本体上面にある二つのボルト。ボタンキャップはフィラーボルト。つまりオイルの注入口。もう一つの六角ボルト。
拡大しますね。


横に小さな穴が開いています。この穴、ボルトの中心に開けた穴と繋がっています。
つまりブリザーボルトです。

以前此処へ取材に来た雑誌屋さん。僕は絶対に言っていないんだけど雑誌の記事中で完全密閉って書いて有った。
この構造で完全密閉ってかなりヤバいのです。
内部のオイルや空気は温度で膨張したり収縮したり。
判りますよね。もしも膨張したらオイルシールを押し出します。
必ず内部の空気を外部とつなぐ穴が必要です。と言って大きな穴だとオイルを吹いてしまう。
そんな訳で、ボルトの中心に穴を開け、六角の頭の横面にその穴と繋がる小さな穴(1mm有りません)を開けて有るのです。

内部容量から言ってこの程度の穴で十分なのですね。
今日は此のブリザーボルトを作った所で中断です。


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只今の作業机の上。


ギヤボックスの組み立てに入っています。
左側はギヤボックスの本体(この中にウォームギヤが組み込まれます)。
右側がモーターブラケット。
作り出した当初はモーターブラケットにモーターメーカー純正品を使っていました。
此れが問題で、機械精度が良くなかったのですね。
まあ普通に使うには良いんでしょうけど、兎に角低振動を求めるレコードプレーヤーに使うには無理が有りました。

その後知り合いの精密機械加工屋さんに特注して、良い物は出来たのですがモーターの振動を伝えてしまうのです。

昔(50年位前)でしたらこんな苦労は無かったのですが・・・・・・。
当時のレコードプレーヤーは廉価機器にはインダクションモーター。高額機器にはシンクロナスモーターが使われていました。
つまり、レコードプレーヤーの要求を満たす事の出来るモーター(低振動)が作られていたのです。

世の中DD一色に成り、サーボモーターの全盛。低振動のシンクロナスモーターが必要なく成ってしまったのですね。結果生産は終了。

所がへそ曲がりのピンキー君はサーボモーターとシンクロナスモーターの音の違いに気づいてしまった。

そんな訳で、シンクロナスモーターに拘っているのですが問題は振動対策。
モーターの振動をターンテーブルに伝えない。しかし正確なモーターの回転はシッカリと伝える。
この矛盾した条件を納得させるのに苦労をしたのです。

で・・・・・・・・。

モーターブラケットの取り付け穴に嵌っている樹脂パーツ。



この辺に詳しい方でしたら色でハハ~~~ン。
MCナイロンです。ナイロンと言いましても凄く硬く、旋盤で切断した物を取り損ねて下に落とすとカラ~~~ンと言う音がします。

ナントこいつが上の条件を満たしてくれるのですよ。
つまらん実験で偶然に発見しました。
樹脂って、微細な変形には豆腐みたいなのですが、それ以上の変形には無茶苦茶な強度を持っています。
この辺が上手く行ったみたいですね。


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先週土曜日に完成しましたギヤボックス。
3度目のオイル交換です。



ドレンボルトが有って、フィラーボルトが有って、ブリザーボルトが有る。
まるで車のミッションです(笑)。
まあ、基本的には同じですので・・。

最初のオイルは2時間運転で交換。
次の交換は24時間運転で交換。

今回のオイル交換は80時間以上運転をしています。
今迄入っていたオイルの様子を見ていましたら、最初の30時間で若干汚れて来て、それ以降は汚れの進行が無いのです。

つまり、初期馴染みが完了。

で、この後はユーザーに任せないといけないのですね。
理由は簡単で、実際に使う時は糸を掛けて横方向に引っ張られるのです。
そうすると、シャフトと軸受けの接触方向が変わる。

この時、誰もが同じ位置にギヤボックスを設置するのでしたら問題が無いのですが、セット場所は人様々。

この先の馴染みは、実際の使用条件で進めないといけません。

でも、100時間を超える運転で、本当に静かに成りました。
この先はユーザーだけが楽しめる世界です。




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予定よりも伸びましたギヤボックスの完成。
つまらない理由です。

アクリル板と本体との間に液体パッキンを塗ります(塗らないとオイル漏れ)。
で、その液体パッキン。一度に使う量はほんの僅かなので、一回の購入で本当に暫く使えます。

今のパッキンは10年以上前の購入。劣化を押さえるのに冷蔵庫で保管しているのですが、流石に・・・・・。

この前に使った時には平気だったのですが、今回細かな硬化し始めた粒子が混じっているのですね。此れは拙い。

と言う事で慌てて発注。入荷待ちで先へ進められなかったのです。
昨日入荷したので、組み立てを再開したのですが、家の問題で業者が一日庭をほじくり返しての工事。
お茶を出したり、工事の説明を受けたりで、どうしても作業が中断しがち。

そんな訳で、完成は本日の正午過ぎ・・・。

作業中をアップしますね。



モーターはシンクロナスモーターです(電源周波数にロックした回転数で回ります。50Hzなら1500回転。60Hzなら1800回転)。
今回のご要望は暫くぶりの50Hz仕様(笑)。
周波数で進相コンデンサーの容量も変わります。
写真の図面はモーター付属の取説。
出ている配線の接続を変える事で、回転方向が変わります。
何台も作っているのですから、配線を暗記しても良いんですが、僕は・・・・・(汗)。

ベースにギヤボックス本体とブラケットへ取り付けたモーターをセットします。
で、此処からがギヤボックスの組み立てのハイライト。





一番の肝です。モーターのシャフトとギヤボックスシャフトの直線性を何処迄高めるか?
此れが僅かでも狂うと振動の原因に成ります。

まあ、色々な方法を考えて実践して来ました。ここ数年の方法です。
下に見える溝の彫って有る二本のバー。

この様な感じにあてがいます。



溝は直線に切って有りますので、シャフトは強制的に直線に・・。
と言っても、軸受けの若干のガタ(これが無いと回らない)が有りますので、モーターの位置を微妙に調整するのです。
その時には、手でシャフトを回転させ、一番軽く回る点を探すのです。
結構根気のいる仕事ですが、滑らかな回転を維持するには避けて通れない作業なんですね。

最適点を見つけたら、モーター取り付けネジをシッカリと締めるのですが、締めると回転が重く成ったりして一筋縄では行きません。

何度もしているので、慣れては来ましたが結構時間が掛かります。

最適点を見つけたら、位置だし治具を外し、カップリングに交換します。
微妙な誤差を無視出来る様に、ダブルでカップリングを使います。
滑りをさせる樹脂(赤い部分)が入っていますが、更に滑りを良くする為に、樹脂に薄くグリスを塗ります。

兎に角、ギヤの組み立ては細心の注意です(蛇足ですが、車の場合、エンジンよりもデフの組み立ての方が技術者の腕が表れると言われています)。

まあ、そんなこんなしながら、オイルを注入しモーター始動。
まだ若干煩いですけど、最初からこの程度の音でしたら成功です。

納品まで3週間程度有りますので、ジックリと馴らしとオイル交換です。


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