平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
只今の作業机の上。


旧型アーム本体です。なんせこの形をアルミ角棒から削り出すのですから手の掛かり方が半端では無いのは判りますよね。
当時は一ヶ月に3本が限界でした。
今は月に1本出来るかどうか・・・・(汗)。
新型アームの方がシビアな部分が有るのも事実です。

今回の作業、内部配線の交換です。勿論寿命で交換では有りません。チューニングアップ。
当時のアーム配線には4芯シールド線を使っていました。其のシールド線をバラしてSMEのパイプ内配線交換にも使っていましたので其れなりに良質な配線材料です。

で、此処の愛読者ならご存知と思うのですが、僕は単線が大好きです。
アーム内の配線を全て単線にしますとアームが動きません(笑)。
そんな訳でアーム内を単線にして、可動部分だけ極細の撚り線にしてみたのです。勿論僕のアームで先行実験。
結果は余りにもの大成功。此処迄変わるんだー・・・・・。

で、この改造。無茶苦茶手が掛かります(自分で実行した方はゼロ。モチ自信のある方は実行しても構いませんよ)。
線材の違いからアーム先端加工。

此処を通る配線材の太さが違いますので、溝の幅を2mmから3mmへ広げています。

シェル。

此れもアルミブロックからの削り出し(残りの方が少ないのです。切粉を作る様な作業です。アーム本体もアルミ角棒の重量が1/10に成ります)。

コイツもリード線を通す溝を加工。


最終的に溝の中へエポキシを流し込みますので、硬化待ち時間も結構掛かります。
完全に自己満足の仕事ですね。

僕は20代の時代から付き合っていた機械加工の名人がいました。小さな加工工場でしたがチョクチョク親父さんがいなくなるのです。理由は大手の工場への出向。
要は工場の作業員には手に余る試作品を代わりに作るのですね。それだけ腕を買われていました。
僕のフライス盤と旋盤もその親父さんが選んでくれた物です。

僕が機械を導入して数年後。トーンアームを作り上げました。2~3ケ月後に親父さんがフラっと遊びに来たのです。
アームを見た親父さん『これ、榮ちゃんが作ったのかい?』
ピ『そうです。』
親『もう、俺の教える事は無く成ったな。』
最高の誉め言葉でした。

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カートリッジへの配線を4本出来たら、アームベースへの取り付けです。

このアームベース、20mm厚のアルミ板。面積もシッカリと取って、下の脚部へ8mmのボルトで取り付けます。
つまり、間の木部はアルミでサンドイッチ。ボルトの数も6本ですので、まあ問題は無いですね。

キャビネットへ取り付ける前のアーム。



ベースの下側に付いている5Pラグへ内部配線を落とし、そのラグへ2芯シールドの出力ケーブルを取り付けます。
103はインピーダンスがSPUの10倍強ですから、ケーブルの長さには強いかも・・?

ヤット、完成が見えて来たんですけど、追加注文が有るのでもうちょい頑張るようです。

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アーム本体は二次加工が有るので、アルマイト屋さんから帰って来て直ぐに梱包を解きました。
シェルは只今梱包の中から・・・・。

103専用ヘッドシェル。


基本構造は変わりません。違うのは高さが5mm低く成って、取り付け穴の位置が1,5mm前より・・。
どれにも合います。と言うのはどれにも合いません。専用品に勝るものは無いんですね。
正直、5mmの差はスペーサーで済みますし、穴は長孔加工で済みますけどネ。

まあ、自己満足です。

で・・・・。


首の部分の内アール加工。此処を直角に削ると共振の節に成ります。内アール加工は必須なんですね。

で、問題。高さが低く成ったので、アーム本体との結合ビス穴がアール部分に掛かってしまった・・・・(汗)。
そんな訳で・・。


此の座ぐり、フライス盤に取り付けたエンドミルを手で回して・・・・。
エンドミルって刃先の直径よりも軸部が太いのです。
完全にシェルのカートリッジ取付面と干渉。
ゴチンコでは無いのですが、確実に触れている。
高速で回したらシェルがすっ飛んで行く。

そんな訳でチャックをゆっくりと手回しして、座を作りました。

出来上がったら絶対に判らない苦労です(別料金かなー・・・笑)。



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アームの組み立ても佳境に入りました。
一番神経を使う軸受けの仕上げ加工(完全な手仕上げ)。

ガタ無くスムーズに、其れだけなんですけどね。

と言う訳で、昨日オーナーに成る方の家を訪問。
カートリッジを預かって来ました。
殆どの方はSPUですので、SPUのストックは結構持ってますからお預かりする必要は無いのですが、違うカートリッジの場合は預からせていただき、最適位置へ取り付けます。

今回はデンオン(最近はデノンと呼ぶらしい、笑)のDL103。
僕も昔は散々使ったカートリッジです。

で、ちょいと焦った。
SPUの取り付けは、僕製のアダプターを介してですので、2,5mmのビスだけで取り付けられます(アダプターに雌ネジが切って有る)。
103を取り付けるのにはナットが必要だよね。持ってたかなー・・・・・・。

ストックの棚を探したら・・・・。



ナント未開封のネジセット。
オーディオクラフトのカートリッジ取付用のビス(長さも色々入っている)とナットのセットです。
昔はこんな物も売っていたんですねー・・。
仕入れたのは20年以上前(ひょっとすると30年以上かも・・汗)。ある意味不良在庫と言えなくも無いんですけど、僕の場合はこの様な物が結構有ります。

ちなみに、此処のビス。磁性体材質はご法度です。

基本的にMCカートリッジはシールドされていません。つまり強力な磁気が表に駄々洩れ。
その磁力線の中に計算外の磁性体が紛れ込んだら・・・。
もう、判りますよね。
EMTのTSDはシェルへの取り付けネジが鉄で出来ています。このネジを非磁性体に交換すると判りますよ。
其れと此処のビス。日本は2,6mmを使っていますが、諸外国は2,5mmが標準です。
この2,6mmはどうも日本だけの規格の様で、色々と困る場合が有ります。
ピッチは同じですので、何とかなる場合が多いのですが・・・・・。

そんな訳で、僕のアームには2,5mmを標準にしています。

さて、103を取り付けますか。



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僕の作るトーンアームの軸受けには、オイルが入っています。
僕個人の考えとしてはオイルの劣化で、使い込んだらオイル交換。

って考えていたのですが、僕が使っているアームを含めてその辺のメンテをしたアームはゼロ。

基本的に、無茶高級オイルを使っています。
エンジンオイルですので、とんでもない環境で使われるのを前提で設計されています。
エンジン内と比べますと、トーンアームの使用環境はとんでもなく優しい環境で・・。

その様な訳でして、現在オーバーホールに持ち込まれたトーンアームはゼロです。

只、正直な所微妙には劣化しているとは思いますので、気になされる方のオーバーホールは何時でもお受けいたします。
でも、オーバーホール後の音のリフレッシュは保証出来ません(汗)。

僕の作る機械は、使えば使う程調子が出ます。
ガンガン使って下さい。




オイル交換をお勧めするのは、ギヤボックスとターンテーブルの軸受けです。
特にギヤボックスの初期にオイル交換をまめにした方とさぼった方での差は顕著です。
壊れはしませんが、SN比に差が出ます。

この辺は申し訳ないのですが、僕の性分で使い込むほど本領を発揮する。と言う機械が好きなんですね。
新品の時は良いけれど、使う程に性能ダウン。と言う機械は好きになれません。

今乗って居るエブリーが気に入っているのは、7万キロを過ぎたのにいまだに調子が上がっている。と言うところなんですね。
使い込む程に・・・・。と言う機械、大好きです。

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只今作成中のプレーヤー一式。
最近、この一式での受注が多いのです。

以前はアームだけとかギヤボックスだけとか・・・・・。
この単品注文ですと一ヶ月程度で出来上がりますが、一式と成ると何ヶ月・・・・?
今年は2セット目。有難いんですが疲れます(汗)。

アームを作るのは3本目だよねー・・。

で、現状。


只今のフライス盤の上。アーム本体の切削中。何せ気を使います。一瞬のミスが数日の努力を無かった事に・・・・(何度も経験、涙)。
配線ミスは気付いた時点で修正すればOK。

切削ミスは最初からやり直し。
そんな訳で、頭が疲れて来たな?と感じたらその日の作業は止め。疲れて来ると、ウソッと言う様なミスを起こそうとします。ヤバッ、気付かなかっったら・・・(大汗)。

そんな時は無理しません。急ぐと碌な事が無いんですね。

写真のアーム本体。此処迄出来ると80%完成です。で、油断をすると最初から・・。

以前、アームの材料(角棒状態)と切削の終わったアームの重量を量った事が有りました。
切削後の重量は角棒の1/10以下・・。殆ど切削くずを作っている様な作業です。
その角棒も24mm角。そんな角材は有りませんので25mm角材から作ります(今回は手持ちの都合で30mm角棒からの切削)。



以前アップしましたボールエンドミル。買ったのは正解で、挽目が綺麗です。
で、この内アール。ボールエンドミルだけでは削れません。普通のスクエアエンドミルで内アールの部分を階段状に残して切削。残った階段状の部分をボールエンドミルで削ると言う何とも・・・・。
でも、音に効いちゃいますので手を抜けないのです。

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トーンアームの配線が完了(配線中にも市の担当者から℡)。
で、安心は出来ません。金属の中にエナメル線を通し、更に半田付けで細い線に移動。
作業中にチョットでも傷を付けたら短絡します。
勿論、半田付けもほんの僅かな範囲ですので、不良も出易い。

その様な訳ですので、作業を進める度に、断線と短絡をチェックしながらに成ります。

遂に最終テスト。



ダミーカートリッジ(針先の摩耗したSPU)を取り外し、全配線の断線と短絡のチェックです。
カートリッジを付けた侭でのテストはNGです。

出力ケーブル先端のピン端子とシェルリード線間での、断線(過多抵抗値)と短絡。勿論アーム本体との短絡チェックも重要。

過去にこのテストではねられたアームは皆無なのですが、それで安心する程の自信家では有りません。
このテストにダメ出しを受けたら、アームの作り直しもあり得ますので緊張します。

結果は全てOK。ホッとする一瞬です。

此れで、トーンアームを安心してプレーヤー本体へ取り付けられます。




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正午から掛かったアームの組み立て。
カートリッジを取り付けて、シェル周りの配線です。

で、此処で焦った・・・・・・・。

古くからの友人は、皆知っていると思うけど、僕は兎に角片付けが下手。

今回は、特殊色アルマイト加工品を車の中に置いていたんですね。
下手に家へ持ち込むと、うっかりと傷を・・・・・。

車の中なら平気。と言う判断です。まあ、車を使う予定も無かったと言うのも有りましたが・・。

さて、車の中からヘッドシェルを取って来るか・・。

デーーーーーーーーー。
車のキーが見当たらない。いつもの場所に無い。
最後に車に乗ったのは・・・・・・・?

散々探して見つからない。オイオイ、チョットヤバイよ・・・・・・・。

で、思い出した。最後に乗った時に着ていた上着。
椅子の背もたれに掛かっている。
ポケットを探ったら・・・・・(ホッ)。

正直、小一時間探していました。

此れさえなかったら、もっと早く完成したのに・・。



可成り以前に完成していた軸受けに差し込みます。
アームベース取付面から、横シャフトの中心迄の距離は22mm。
勿論、測定します。結果はピッタシカンカン。
まだ、オイルは入れませんよ。違う色のアルマイトに出したアームベースが帰って来ていませんので・・。

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