平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
本人としては認めたくないんだけど、昔ほどの仕事量をこなせない。
一般の世の中ならとうに定年退職。

でもこの仕事好きなんですよねー。

で、半年位前。あるお客様の所。その方は最初期型のHL-Ⅱを使っていられます。
基本回路は最新型と丸っ切り同じ。しかもオプションのトランス結合を採用。

当時の僕のプリアンプでは最強バージョン。
でも、最新の単なるCR結合アンプに敵わない。
其れもご本人は十分に承知。

で、僕が余計な一言。
『今の最新型のプリアンプ、たった一人だけがトランス結合バージョンで、他の方は皆CR結合なんですよ。ある意味CR結合で満足されている。』

『今のプリアンプは将来トランス結合へグレードアップの出来るシャシ構造。でも実際にしている方はたった一人。』

『逆に言うとトランス結合を前提としてシャシ設計をしている。その分が無駄なんですね。』
『だったら、トランス結合を考えないでCR結合だけでシャシの設計をすれば・・・・・・。』

その時のお客様、目がキラリ。

本日そのお客様からメール。来年・・・・・・・。

こうなったらゼロから設計し直しします(勿論シャシ設計)。
皆さん、回路やパーツの話はするけどシャシの話をする方は略皆無。
アンプ作りで一番大切なのってシャシ設計って気付いていない。

トランスを入れるスペースが要らないので、一回り小型のシャシに成ります。
そうすると、同じ肉厚の材料でシャシを作ると機械強度は上がります。つまり余計な共振が出難い。
配線も短縮化できるし、CR類の配置も更に理想的に出来る。
ハッキリ言って重箱の隅を突く様な作業です。

でも、今の最新型。その作業をしました。回路、定数、パーツは其れ迄の物と全く同じ。当時僕の使っていたプリアンプはトランス結合、左右別電源と最強バージョン。

鳴き比べ・・・・。
ハハ、其れ迄の最強バージョンに負けない。勝ったとは言いません。でも負けていない。

その経験で、パワーアンプも作り直し。結果は同じ。
そんな訳で、重箱の隅の重要性をイヤと言う程味わったのです。

と言う訳でCR結合に適したシャシの設計に入ります。
と言っても、現在受けている仕事が沢山残っているので、開始は来年かなー。

でも、僕も楽しみ。

拍手[7回]


1週間ほど前に40年近く使われたアンプの修理をしました。有名どころのKITのアンプで、作ったのは若かりし頃の僕。

此のアンプは20台以上作ったと思います。
写真は今回は有りません。載せちゃうとメーカーが判ってしまいますからね。

修理の内容はVRのガリ。その他も使用時間が時間ですからジックリとチェックをします。

アンプの構成は12AX7を2段で使うフォノイコライザー。
フラット段は12AU7の片ユニットで増幅、直結でもう片方のユニットへ繋ぎカソフォロ出力と言う極普通の回路です。

この極普通と言うのが大事、変に凝った回路なんかで作ったら40年近く動作をさせるのはまず無理。

VRも『良く持ったねー』と言うのが僕の本音。
当時のVRと同じ物は入手不可能。電気的に同じ物を探して、少々の手直しで交換します。
この様な時にプリント基板を使っていないのは助かります。基盤だったら修理不能の恐れ大。

無事に交換が終わり動作チェック。
この時に重要なのは、VRがガリを起こしたと言う事は、フラット段の初段管のグリットが宙に浮いたと言う事です。フラット段の12AU7は無条件交換。

24時間の通電テスト後に各真空管の動作点のチェック。この時に通電初期との差が大きかったら(10%以上)再修理です。
今回は5%以内に収まりました。まあ10%と言うのは結構甘い基準ですが・・。古いアンプの場合の基準で新しいアンプは5%以内でやってます。

今回のアンプ、抵抗器にA&Bを使っていますので厳しいのです。

真空管の動作にOKが出ましたので、信号を入れての波形チェック。此れをしないで聴感テストだけで判断する人を僕は信用しません。

通常、VRは全開でテストをします。此れも正常。
で、意地悪テスト。
VRを半開での周波数テスト。ちなみにVRは250kΩ。僕製のアンプは100kΩですので今回のアンプの方がかなり不利。

えーーー、低い周波数からスイープして行きますと、2KHzから出力レベルが下がりだします。しかも左右が非対称(10KHzなんて酷い下がり方)。
此処でピーンと来た方は凄い。
そうです、VRとフラット段間のシールド線の悪さです。
左右非対称なのはシールド線の長さが左右で違う。

つまりVRとフラット段の部品配置が拙い(此れが出来ている市販アンプを知りませんが・・)。

今日の結論。VRの出力側にシールド線を使ってはいけません。其れの出来る部品配置を最優先させてパネルのツマミの位置は次の優先課題です。



高域のレベルが下がると言う事は、倍音成分が出ません。つまり楽器のニュアンスが出難いアンプなのです。

拍手[10回]


久しぶりに二階から降ろして来たプリアンプ。
3年位惰眠を貪らせていました。

此の侭終わるのは勿体ないよね。

そんな思いを持ち始めた時に連絡を頂いたのです(プリを注文したらどの程度掛かるか?)

最近の僕は、集中力が長時間維持できません。脳が疲れを訴えるんですね。
そんな時に無理をしても良い仕事は出来ません。
必ずコーヒータイム(30分から1時間)。

そんなペースですから、昔と同じ仕事量はこなせません。
更に拙い事に、昔よりも仕事の内容に拘っている(良い仕事をしたい)。

八王子で仕事をしていた当時と比べると固定費が半分以下に成った(汗)と言うのもあって、兎に角良い仕事をしたいのです。
初めてのお客様から連絡を頂いて、僕の納品が1年以上先に成ります。の答えで諦める方多々・・・。

で、今回のアンプ。明後日の日曜日に持ち込む事に成りました。遠方ですので雪の場合は延期です。

昨日、半日かけて作ったシールドケース。


まず必要ありません。万が一の為の用心です。
お使いの機器によっては、磁気をまき散らす物も有りますので・・・。

今日は暫くぶりに食品の買い出し。スーパー迄片道22km有りますので・・・・。


拍手[8回]


大掛かりだったアンプのオーバーホールも無事に済み、一休みしたいんですけどね・・。

只今の作業台の上。


もう何度載せたか判らない、プリアンプの内臓(笑)。

今回のプリは最終仕様の物です。従来品と比べて電源の強化と本体の部品配置の適正化と配線の引き廻しの再検討。

此処へ引っ越してから作った物ですが、結構な台数を作りました。
貸出するとまず注文を頂けましたので(笑)。

で、此処最近は忙し過ぎて貸し出しにも行けない状態と言うか、お馴染みさんは皆さん僕が作ったプリアンプを愛用されていますので、もう大体行き渡ったかな?

此のアンプは試聴用に作った物ですので、使用時間は大した事が無いのです。
一番使ったのは、今の僕のアンプ(ドライブ段を内蔵)を作っている間に使っていました。

今のアンプが出来てからは2階のストックルームで惰眠。

その様な時にあるお客様からのメール。
『今プリアンプを頼むとどのくらいの時間が掛かりますか?』
どう考えても1年以上待ってもらうしかない。

で、ピコン。2階で寝ているアンプをお安く出しますがいかがでしょう?
現状から考えて、あのアンプ勿体ないなー・・・・と思っていたのです。

取り敢えず試聴がしたい。と言う事で2階から降ろして来ました。
ここ3年位火を入れていませんし、僕が使った時にオプション扱いのトランスを入れてしまって居たり、電源のケミコンも今の愛用品と違います。

と言う事で、いつもの行動です。
電源のケミコンを全交換。トランス類を取り外し、真空管の動作点を調整します。

勿論本体だけではなく、電源部のコンデンサーも全交換。

で、やっと動作チェックに入れたのですね。

もう散々弄って来たアンプです。一発合格。

序に初段管へ例の銅製のシールドケースを被せます。
手持ちが有ると思っていたらゼロ。

また半田鏝遊びのシールドケースを作りますか。




拍手[6回]


此処一週間、掛かりっ切りだったプリアンプのリフレッシュ。
凄く頑張ったのは、なんか楽しかったんですね。
どうせなら・・。の何時もの癖。まあ、昔からのお付き合いがあり、勝手にやっても怒られないよねー・・・(笑)。

まあ、そんな訳で本日めでたく納品です。
外見は何も変わっていません。

接続完了。で、笑っちゃいけない。
Aさんは完全なアナログ派。CDを完全に馬鹿にしていました(その気持ち理解出来ます)。

Aさんに言わせれば、何処で聞いてもCDの音は嫌い。

そんなAさんが2~3か月前に僕の所へ来た。僕は悪戯の気持ちでCDを掛けた。
『エッ、CDからこんな音が出るの?』
まあ、色々と有って色々と有って・・。

本日、最初にAさんが音出しをしたのがCD。
チョイ前だったら有り得ない行動。

まだ、僕のシステムには成っていないCD関係なんだけど、僕の薦めたCDプレーヤーと物質のDAコンバーターで楽しめている見たい。

つい最近もCDディスクを数枚購入したとの話。
嬉しいですよね。僕のアドバイスで嫌いだったCDを見直した。そしてCDも楽しめる様に成った。

どんなに高額なオーディオ機器でも所詮音楽を楽しむ機械です。
オーディオ機器よりも音楽を楽しんでいます。それが僕には最高で・・・。


オット、試聴結果を書かなかった(汗)。
一言で言うと、付帯音が減りました。正直、弄り過ぎたのでまだ本調子では有りません(だってほとんどの部品を交換)。でも片鱗は見せてくれています。
最初に預かった時はB電源回りだけのコンデンサーの交換。って思っていました。
中を見たら、なぜか行っちゃえ・・。

仕事にしてから45年。まだオーディオ小僧の気持ちが残っている見たいです。

拍手[6回]


昼食も取らずに頑張りました。
気合の入っている時に、昼食を取るなんて考えられません。

そんな訳で、無茶苦茶に増えた交換CR。当初はケミコンとプレート負荷抵抗程度の交換を考えていたんですけど・・・・・・。

なんで、こんなに熱く成ったのか・・・・。
エーーー。20年以上、オーナーの方に可愛がられていたな。
見ると判ります。大切にされたかどうか・・。

トラブル無しで20数年。頑張ったよねー・・・・・・・。
要は嫁いで20数年の愛娘。暫くぶりに実家へ帰って来た。
疲れが溜まっているだろうから、20年間の垢を落として嫁ぎ先へ返したい。

馬鹿おやじです。

で、溜まった垢(笑)。


垢を落とし、化粧し直した愛娘。


元々のCRで残っているのはほんの数個(換えなかった理由は有る)。
健康診断。


ビタッと左右で揃って居る波高値。イコライザーカーブもビタッ。

出来たぞー、さ、Aさんに連絡をしなくちゃ・・。
と携帯を手にして気が付いた。

MCトランスを交換していない・・・・・・・・・・。


拍手[3回]


此処迄するつもりは無かったんだけど、僕の心に火が点いた(笑)。
納品期日は決まっているので、其れ迄に出来る事は全てやっちまえ・・。

昨日の内に完成したCRイコライザー。


CR素子は全て換わっていますし、定数も一か所を除いて変更。
通常の抵抗値ではどうしても会わない所は、2個の抵抗器をパラってカーブを合わせています(完全に自己満足)。

でもインピーダンスの低いECC82ですから駆動出来ますが、一般のECC83なら苦労すると思います。
カップリングコンデンサーもオレンジドロップ(スプラグ社の命名、好きです)から愛用のフィルムコンへ交換。

最後はこれ。


スウェーデン製のケミコン。
此れが見つかる迄は苦労しました。容量の満足出来るケミコンですと音の点で今一。フィルムコンですと容量不足・・・・・。

コイツを初めて使った時の驚きは今でも覚えています。『コイツ、本当にケミコンかい?』
耐用時間も15000時間をギャランティ。
コイツの製造販売をずっと続けて欲しいですね。それくらい惚れ込んでいます。

さて、作業場所の温度も上がったので、作業スタートです。



拍手[3回]


デカップリングのケミコンを取り付けるとでっかくて邪魔。
そんな訳で・・・・・。


CRイコライザーの素子です。
下のラグがロールオフ。上のラグがターンオーバー。
定数を見ると、当時の標準定数で組んで有るのが判りますよね。
本当に標準定数です。

で、へそ曲がりのピンキー君。ある日イコライザーカーブを測定。
違うじゃない・・・・。
まあ、この程度の違いが耳で判るかと言われたら自信ありません。
でも、キッチリと組みたいよね。と言う事でこれも20年近く前に定数を換えました。

当時はオプションとしてLCRイコライザーも有ったのです。予算に余裕の有る方はLCRイコライザーに交換していました。

で、月日は流れ・・・・・・・・・。
世の中のCR素子の進化は凄い物が有ります。
こんな古臭い素子は止めて、新素材でCRイコライザーを作ったら・・・・・・。

ハイ、LCRは必要なく成りました。現在オプションにも設定されていません。

前々から感じていたのですが、こういう回路で組みたい。でもそれを実現出来る素子が無い。
今はその制限がどんどんなく成って来ています。逆相アンプもその一つ。逆相出力を出せるトランスと巡り合えたので実現出来たのですね。
最新の素子。理想素子にドンドン近付いています(高いですけどね)。



拍手[3回]