外されたオイロダインの振動板アッシー。
今では珍しいカンチレバーダンパーです。
このカンチレバー。圧倒的に反応速度が速いのが特徴。結果アンプを選びます(メチャ良い意味で)。
小手先での誤魔化し回路のアンプは一発で馬脚を表すので、鳴らし辛いなんて言われるんですね。
アンプの設計が悪いのに・・(笑)。
使用上の注意点としては、磁気ギャップがむき出しです。ごみに注意。
其れと、コーン紙のストロークは稼げません。つまり超低音(70Hz以下)での大入力には注意が必要です。
実際にオイロダインの磁気回路は大振幅は考えていない設計です。
つまり、ボイスコイルの幅と磁気回路の幅が同じ(15mm)なんですね。
ロングボイスコイルでもショートボイスコイルでもないんです。
と言う事は小音量ほど効率の良い動きの出来る設計です。
逆に、大振幅に成ると磁気制御が効き難くなるんですね。
カンチレバーですので此れでOKなんです。
でも、15mmも有る磁気回路と言うのも凄いですが(笑)。
振動板を全て外したのですから、こちらは遠慮なく掃除。
ヤハリ、ギャップの中には細かな金属のごみが。
強力な磁気ですので吸い込んじゃうんです。
ギャップ内を木の棒(爪楊枝を削った物)で掃除。その後、コンプレッサーの高圧エアーで吹き飛ばします。
今回もエアーを吹いたら、一瞬細かなごみが・・・・。
僕も、後ろの旋盤の切り粉を吸い込ませたりして・・・・・・(大汗)。
でも、オイロダインのウーハーはこの状態に簡単に成りますので、結構気楽にバラして掃除をしています。
そう言えば、初めてオイロダインのウーハーをバラした時を思い出しました。
ある中古業者がオイロダインを持ち込んで来たんですね。勿論僕が注文したんですが。
チェックすると片chのウーハーが擦っていたんです。
まあ、修理範囲とは思ったんですが、僕がバラした所為で不良に成ったって言われるのもイヤなので、其の侭返品したんです。
その日の夕方、此処のコメント欄での常連さんが来店。
このタイプのオイロダインが欲しいって言って来たんですね。
そのタイプは今日返品した物。
彼曰く『ピンキーさんが修理して治せるなら、其れが欲しい。』
直ぐに中古業者へ電話。
次の日にまた持って来て貰いました。
笑えるのが、持ち帰ったら中古屋さんの社長は異常無しの判定をしたと言う・・・・・(大汗)。
持って来た営業マンは喜多さんとも知り合い(と言うか元部下)。
オイロダインの事は良く知っている。
僕が彼に念を押す。
『ネッ、擦ってるよね。僕がバラス前から擦ってるよね。』
彼に確認をしてもらってから、フレームからウーハーを外し、分解始めた。
分解しながら彼と馬鹿話。喜多さんの悪口や・・・・・・(笑)。
で、彼の言葉。
『ピンキーさんはオイロダインの分解には慣れているんですか?』
ピ『ウウン、初めてだよ。』
彼は一瞬・・・・・・。
ピ『あのね、オイロダインだって人の作った物じゃない。神様が創ったものなら緊張するけど。』
『オイロダインは天下の名機。なんて思っちゃうから緊張して手が震え、良い仕事が出来ないんだよ。』
『タンノイやアルテックより簡単じゃない。全てネジ止めで、接着剤を使っていないし、ギャップは嫌と言う程広いし。』
20年以上前の話です。
あ、その時のオイロダインですか?
お買い上げ頂き、今でも元気に働いています。
ヤバイ話の追記。
以前散々扱っていたタンノイ。
まず新品でもツィーターの磁気ギャップには鉄粉が進入(確率90%)。
こいつを掃除して、ギャップ調整をし直すと丸っ切り違いますよ。特に木管楽器の響きが。
販売した新品の調整、何台した事か・・・。
30年近く前の話です。今のは知りません(笑)。
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