平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
今日は、チョット変わった仕事をしています。
市販のネットワークの測定です。
市販品と言いましても、JBL社の年代物。

50年前の物との事です。前のオーナーから30年前に譲り受け、ずっと使い続けましたので、オーバーホールをして欲しいとの依頼でした。

殆どの方が、異常を感じてから持ち込まれるのですが、長年使ったからチェックを・・。
機械に対しての愛情を感じます。
喜んでお受けしました。

で、残念ながらオーバーホールは、出来なかったのです。
一見蓋が外せそうに見えるのですが、完全に固定。ケースを指で叩いて見ると、内部は密閉されているのが判ります。
プロ用のネットワークでしょうから、信頼度を上げるには、最上の方法です。

此の侭返そうかとも思ったのですが、測定だけなら出来ます。の僕からのメールに、測定をお願いしたいとの返事でした。

驚ろかしている、と取られると困るので、言わなかったのですが、古いネットワークで高域のローカットが効かなく成りますと・・・・。

判りますよね。高域ユニットに多大なダメージを・・。

かなり以前、JBLのドライバーの修理を頼まれました。音が割れると言うのです。
分解してダイヤフラムを見ますと、見事に破損。
ダイヤフラムの交換で修理は終わったのですが、僕は不安。

この壊れ方は異常。ひょっとして・・・・・・。
ドライバーを持って行きながら、測定器も持って行ったのです。
測定料金は要りませんから、チョット見させて頂けませんか。

この方は、チャンデバでのマルチアンプを組んでいました。

僕の予想は、ドラーバー段の低域がカットされていないんじゃないか?

予想は見事に的中。チャンデバの故障で、中域(ドライバー段)の低域が丸っ切り切られていなかったのです。

此れに気付かずに、ドライバーを納めていたら・・・・(ゾー)。

チャンデバで、マルチアンプシステムを組む場合は、この点の用心が必要です。
2~3年に1度はチャンデバをチェックしましょう。
修理可能のスピーカーならいいですが、もう無い過去のユニットでしたら・・・・・(石のパワーをお使いなら出力のDCドリフトにも注意です、ツィーターを一発で壊しますから)。

そんな意味も有って、今回のチェックはかなり厳重に・・。


測定

20年以上前に作った測定専用のパワーアンプ(左にチラッと見えます)。
暫らくこのアンプも使っていなかったので、まずアンプの測定から・・(笑)。
無事に動作しているのを確認してから、此れにネットワークを繋ぎ、ネットワークの出力端子にはダミー抵抗。ネットワークが16Ωで設計されていますので、勿論同じ抵抗値を。



測定

二現象のオシロで、高域と低域をいっぺんに見ます。
こうするとお互いの関係が一目瞭然。

ネットワークには極性表示が有りませんが、お客様が目印に赤ペイントを。
その状態ですと逆相出力が判りましたし、アッテネーターも面白く、
中心に対して上げると+6dB。絞ると-3dB。

でも凄いのは、カーブに乱れが有りません。LC素子はシッカリと正常値を維持。
密閉構造の有り難さですね。

もう一個の測定も同じ結果に。
左右の誤差が有りません。当時としてはかなりの良品のコンデンサーを使っているのではと思います。

勿論カーブの肩特性も測定。
12dB/octのカーブで-3dBクロスです。

ネットワークには増幅作用は有りませんので、レベル調整のMAXが標準位置と考えると1040Hzでクロス。高域を6dB絞ると、表示の1200Hzクロスに成ります。
なぜそうなるかは、カーブを図面に描いて見て下さい。成る程と判る筈です。

要は低域のカーブは変わりません。高域だけが上下に平行移動しますのでクロスポイントが変わるのです。

この辺は一般のネットワークも同じで、アッテネーターの位置でクロスポイントが変わるのですね。

勿論、チャンデバでも同じです。

今回のネットワークは1040Hzクロスで作り、高域の-6dBを標準位置にセットする事によって、1200Hzクロスとして出して有るのですね。
中々判った設計者かなと・・。

でも、左右の誤差無しには驚きました。


追記です。今回のテスト用アンプ。ここ数年使っていませんでした。
この様に長期に使っていないアンプを、いきなりスピーカーに繋ぐのは自殺行為です。

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