平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
アーム本体の配線材をエポキシで固めました。
短時間硬化型は、耐久性に今一の不安が有るので、長時間硬化型を使います。

今朝確認しましたら、バッチリと硬化完了。

次の作業は、シェルリード線の配線。

シェルの全長が短い(結果、機械強度が高く、共振し難い)ので、結構神経質な取り回しに成ります。
リード線の長さを最適にしたいので、カートリッジを取り付けての配線です。

この様な作業は、カートリッジの針(カンチレバー)を折る事もしばしば・・(オイオイ)。
エーーー、僕のストックの中に、針交換へ出す前のSPUが数本有るのですね。
コイツなら、遠慮なく折れますので(笑)、これを取り付けて配線をします。

非常に細かな半田付けです。
只今神経を休めるコーヒータイム。

飲み終わったら作業開始です。


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今日は朝からトーンアームの組み立てです。
手順としては、以前写真をアップした軸受けを圧入。

横シャフトを通し(最初は若干きつめ)、馴染ませます。
この馴染ませる行為。オイルを軸受けにほんの少々塗り、シャフトを手でぐりぐり。

早く済ませよう。なんて思ってボール盤にシャフトを咥えさせ、回転で馴染ませる。
ウーーン、僕には出来ない。

機械を使うと馴染み具合が今一判らないのです。

指でシャフトを回すと、馴染み具合が良く判ります。ある程度馴染んだら、いったんシャフトを抜き取り、微細(本当に超細かい)な金属粉をティッシュでぬぐい取り、新しいオイルをほんの少々塗り、再びぐりぐり。
これをやるかやらないかで、アームの初期感度が丸っ切り変わります。

個体差が有りますが、略1時間位の作業です。
ガタが出たら大変ですので(市販品にはガタガタって結構多いです)、慎重に慎重に・・。

滑らかに動くのを確認したら、アーム下側を這わせる配線作業。

昔は4芯のシールド線を使っていましたが、現在はエナメル線の単線。
コイツが結構面倒なんですよ。でもシールド線とエナメル線の音の違いが判ったら、元に戻れません(この改造、可成りの本数をやりました)。

現在、エナメル線をエポキシで固め中(エポキシの硬化待ち)。
そろそろ入浴をして晩酌かな?



エーーー、今回のアームの写真は有りません。今後もアップの予定なし。
お客様のご希望で、通常の色とは違います。
アップすると・・・・・・・・・(笑)。

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只今全力集中のプレーヤー作成。
もう当分作りません。って宣言したんだけど、今掛かっているのを含めると3台作るようなんですよ。

プレーヤー一式作ると成ると、半年近く掛かります。半年の間には細かな仕事が入って来ます。
プレーヤーを中断して、その間に小さな仕事を入れちゃうと・・・・・。

その様な訳でして、プレーヤー一式の製作は、残り3セットで完了です。

で、今日の午前中の仕事。



判りますよね、アームの横シャフトと軸受け。横シャフトはアームの上下運動の中心に成ります。
この辺の構造もメタル受けと言う事は変わっていませんが、少しずつ少しずつマイナーチェンジしています。
今の新型アームに成ってからは、全てこの構造です。
単純な構造程、精度の要求が高く成ります。
何しろ、調整代が有りませんので、僕の組み立ての目一杯の集中力だけです。

そんな訳で、組み立て中の写真が無いのですね。

シャフトの右端に見える穴は、インサイドフォースキャンセラーの糸を通す穴。

軸受けは市販のオイルレスメタルを使っています。
と言っても・・・・。



此れが市販の状態。長さが長いのに気付きましたか?
これを丁度良い長さに旋盤で削っています。

外形、内径は正確に作られていますが、長さは結構いい加減で±0,1mm。
そんな訳で、一個ずつ長さを測定して削るんですね。
正直0,1mm狂っても音には関係有りません。
僕の自己満足です。



先日出したアルマイト屋さんから、上がりましたの電話が有ったので、取りに行って来ました。これでアームの組み立てに入れます。

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只今掛かっているプレーヤー。
まあ、色々な要望が有って、可成り・・・・・・。

で、今日の作業はアームの軸受け製作。
表には見えませんが、無茶苦茶重要なパーツです。

僕の個人的な見解。
市販のアームはレコード音溝の振動を舐めている。
良い例がSMEのスライドベース。
あそこを作り直したのって可成りの数をこなしたなー。

アームは感度も重要ですけど、もっと大事なのは機械強度。
だって、弱かったら、あの恐ろしい振動にさらされるカートリッジをキッチリと支えられない。

機械強度と初動感度を両立させるには・・・・・。


下手なターンテーブル軸受けよりも機械強度を持たせています。

理解出来ない方はまあ・・・・。

重要なんですよ。トーンアームの機械強度。




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エーー、チョイ遠方のお客様に新型アームを納品。
僕のチョンボで2回行ったと言う事はナイショです。

でも、お客様の一言で苦労が報われました。
勿論、他社のアームではなく、僕のアームの旧型からの交換だったのです。

新型アームは、旧型に問題点を気付いた為のモデルチェンジでは無いのです。
ターンテーブルが薄型に成った(20mm薄い)。
それに合わせてアームも20mm低いのが欲しくなった。

つまり見た目でのモデルチェンジ。

製作中も音に感じては無頓着。それだけ旧型アームに自信が有ったのです(市販アームに負けた事が無い、笑)。
僕の過去。市販アームを20本以上買いました。そのどれにも満足が出来なかったのです。
作るしかないか・・・。
で、出来上がったアーム。もう20年以上前の話です。
好評でして30本以上作りました(あの有名なFR66Sでさえ、150本しか作っていないのです、其のうち2本は僕が買いましたけどね、笑)。

まあつまらない理由で、モデルチェンジ。
で、最初の1本の音を聞いてオイオイ・・・。
実はメインプレーヤー(旧型アームが付いている)と比べると、完全に手抜き状態のプレーヤーだったのです(キャビネットとカートリッジ)。
なのにメインプレーヤーに負けない。
其の1本は取られました(汗)。

で、今回。旧アームと新アームを同じ条件で聞き比べ。
オーナーさんの言葉・・・・(ナイショです)。
でもとっても喜んでもらえました。

この瞬間が嬉しくて、この仕事を永年続けてこられたのです。
目標、年内に後3本作る。これって結構厳しいのですよ。


で、ムチャクチャ悩んでいます。最初は旧アームのプレーヤーと新アームのプレーヤーを作る予定。でもそうするとギヤボックスが2台必要に成る。
だったら2本アームのキャビを作ろうか・・・。

で、今日の音を聞いて(新旧アームを同じ所で聞いていますが、他の条件が違いましたので)、新アームを2本付けたいよね(SPUの他に使いたいカートリッジが2本)。新アームの方が軽針圧に対して対応し易い。2本のカートリッジはSPUよりも軽針圧。
そんな訳で、旧アームにSPUを取り付けて、新アームに遊んでいるカートリッジを取り付ける(の予定だった)。でもね、今日の音を聞くとSPUの4gでも新アームの方が良い。
旧アーム、特価で売っちゃおうかなー・・・・・・。

このネタは、数年前から気付いていたんだけど、旧アームを使っている方には言い辛くて・・・・・。

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チョット世間話を・・。
もう50年近く前のある雑誌広告。
トーンアームの広告でした。
その内容は『トーンアームの水平バランスを取り、其の状態でマッチ棒の頭をシェルに乗せます。此れでアームの先端が下がったら垂直感度は優秀です。』

此れねー。突っ込みどころ満載なのですよ。
まず、軸受けが重心から高いアームはメチャ不利。
そんな、チョイ考えれば判る事を無視して、自社のアームの性能をうたっていたんですね。

で、垂直感度(水平感度)ってそんなに重要と思っていますか?
確かに感度が高ければ、上下左右に軽く動けます。
とすると、オイルダンプって・・・?
態と感度を鈍らせる装置です。
SMEのオプションは無茶苦茶効きます(感度を鈍らせます)。でも取り付けた時の音色への影響は良い方向へ変わります。

その辺の経験が有って、自分のアームは初動感度は鈍いけど、機械強度を得られるプレーンベアリング方式を選んだのですね。
で、最初はSPU専用と言う考えでしたので、重い針圧ですから感度は低くても良いや。だったのです。
ところが何人かの友人が、2gを切るカートリッジを取り付け・・・。
問題なくトレースをするんですね。僕も手持ちの軽信圧カートリッジで実験。
丸ッ切り平気でした。
現在、初期型のアームで一番軽い針圧での使用例は1,5gです。勿論問題は一切起きていません(現在のタイプは更に感度が上がっています、勿論機械強度は下げていません)。
モーメント(力点、支点、作用点でも)を考えると理解出来ます。
軸受け部はアームのベース部分に位置していて回転の中心部。
其れに対して、針先はずっと離れた位置。
もう判ったでしょう。
で、逆に機械強度は離れている分高い事を求められます。

レコードの反りに対する対策は、アーム感度よりも、ヘッド周りの軽量化の方が効果が有ります。
重いシェルにカートリッジを取り付けますと、レコード盤上でビシッと安定して見えますよね。
反ったレコードを掛けて見て下さい。
シェルは落ち着いている代わりに、カンチレバーが一生懸命に逃げているのが見える筈。

この辺がシェル周りを軽くしたい理由です。
高評価のSPUアダプターも一番苦労したのは軽量化(機械強度は落とさずに)でした。
軽くするたびに、音離れが良くなるのです。

一時市販されていたオーディオクラフトのSPUアダプター。
軽量級と重量級が発売されていましたが、僕は迷わず軽量タイプを店頭に陳列。

どうしても重量級が欲しくて秋葉原まで買いに行ってお馴染みさん。
付けてみて、僕が重量級を置かないのが判ったみたいです(笑)。

トーンアーム。無茶苦茶重要なパーツです。


で、きつい一言。
ネットで色々なアームの評価を書いている皆さん。
アームを20本以上購入して使って、更に作ってみた。って無いですよね。知ったかぶりって嫌われますよ(と言うか、迷惑って気付きません?)。

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トーンアームの組み立ても最終段階です。
で、今迄公表していなかった軸受けの構造の初公開。

基本的に僕のアームの軸受けはプレーンベアリング(メタル)。
ナイフエッジやワンポイント、ボールベアリング等と比べますと、明らかにフリクションの多い方式です。
只ですねー・・・(笑)。その様な方式のトーンアームを僕は20本以上購入しました。
で、納得できた物はゼロ。

作るしかないか。

まずアームの働きを考えます。
カートリッジをレコード盤上に支持する構造体。と僕は考えたのですね。
溝の振動にはびくともしないでカートリッジを支え、内周にじわじわと進む移動と、レコード盤の反りに因る上下動には抵抗無く動く。
この相反する目的をこなすには・・・・・・。

散々考えましたよ。何枚(何十枚かな?)図面を書いた事か・・。

で、出来上がったのが初代のアームです。
ネットを見ますと、僕のアームを使っても居ないで色々と・・・・(笑)。
エーーー、現実です。僕のアームを使った方で他のアームへ換えた方はゼロ。
使わないで、あーだこーだ言うのは僕のもっとも嫌う所です。

ですので、僕はダメと思っても確認の為に購入した機器の数は・・・・・(大汗)。
お金、残りませんよねー(でもね満足感はタップリと味わいました)。
基本的に失敗を楽しんじゃう性格ですので・。

話が飛んじゃいましたね。
初代のアームは、QRKをベースに設計したアイドラードライブのターンテーブルへの取り付けを前提にしています。
つまり、ターンテーブルの高さが高い。
結果として、アームの背も高くなりました。

10数年前からアイドラーを止めて糸ドライブに改宗(笑)。
暫く其の侭で使っていたのですが、糸ドライブなら釣り鐘構造は要らないよね。って気付いたのです(遅い)。
で、その後の変換は以前のアップの通りです。
ターンテーブル構造変更の効果は、想像以上でした。
それに合わせて、背の低いアームが欲しくなったのです(何時もの事ですが、売ろうと言う考え以前に自分で使いたいって・・)。
フジで転倒して長期の入院。其のベットの上で図面を書いていました(バカですねー)。

その背を低く出来た要因の軸受けです。


アームを下から見るとこんな感じ。
チョイアップ。


縦軸受けのシャフトと横軸受けのシャフトはT字形に固定されています。
つまり横シャフトは回りません。
本体に圧入されているオイルレスメタルと擦動します。
其のオイルレスメタル。


此の侭使うとチョイ長いので、旋盤で合わせます。
で、シャフトをT字に固定したら、本体に組み込めませんよね。
T字への固定は、縦シャフトに開けたM3雌ネジへ3mmのイモネジで固定。
組んでからイモネジを回すのは・・・・・・?

答えが此れ。


アームの後ろ側の穴。此処からヘックスレンチを差し込んで締め付けます。
で、穴の内側にねじが切って有るのが判りますよね。

このネジ穴。ウエイトシャフトの取り付け穴。
一石二鳥の穴なのです。



で、市販のアームにつくづく感じる事。
機械屋ではなく電気屋が作っていますね。機械屋なら、アンナ華奢な構造にはしません。
まあ、オーディオ屋さんって基本的に電気屋さんですから・・。

あ、昔の話。EMTの997を雑誌の売買欄に出しました。僕としてはこのアームに対しての評価価格で出したんですけど、とんでもない応募者の数。
あのねー、機械を見る目の無い人達の応募と思いましたね。
その後、FR66Sを出品。同じ感覚です。
雑誌の評価を当てにしている人、本当に無駄遣いをしていますよ。
僕も散々しましたから・・・・・。

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暫くぶりのアップです。
毎日、少しずつですが確実に進んでいましたアームの製作。
細かな加工が多いので、非常に気を使います。

そんな中、昨日届いた荷物。


無茶苦茶軽いんですよねー。
中身・・。


この様に丁寧な梱包。変な力が加わると変形の恐れが有るのです。
梱包を解くと・・。


新型アームの本体。
アルマイト加工から帰って来たのです。
勿論、アルマイト加工中にも、他のパーツを作っていました。

このアームの心臓部分。


従来のアームよりも、20mm背を低く出来た部分です。
この構造を考えたのは、入院中のベットの上(笑)。
今考えても、よくこの構造を考え付いたかと・・・・。

本当は僕の分も欲しいのですが後回しです(涙)。
で、プレーヤーをもう一台作るか、2本アームにするかを考慮中。
2本アームにすればギヤボックスを増やさないで済むのですが、2本目のアームの取り付け方を悩んでいます。
アームの取り付け方って、凄く重要なんですよ。



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