平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
ここ数日、ネタを探すのに四苦八苦。
何故かと言うと・・・・・・・。


データー上は差が無いんだけど・・。

毎日毎日僕らは鉄板の・・。じゃ無かったコイル巻き。
市販品で納得する物が有ったら、絶対に作りません。

僕のコイル。2mmを巻いている、とか純鉄コアを使っているとか・・・・・。

同じキャッチフレーズのコイルで、市販品が有るのですね。
僕のコイルよりもずっと安価。
じゃあこっちを使おう。と走った方が出ても当然ですよね。

市販のコイル。僕が見ると・・・・・・。

同じ条件で鳴き比べると、違いが一目瞭然(聞くんだから・・?)。

僕も散々コイルを巻きました。巻き方で、なーーーーーーーんもデーター上の差は出ません。

でも聞き比べると・・・・。

そうなんですよね。オーディオをやっていると、兎に角戸惑うのが、データー上(理論上)と聴感とのギャップ。

つまり、まだまだオーディオは判らない事ばかり。

で、僕のスタンス。
理論上差が出る筈でも、聴感上差が聞き分けられない事は、とりあえず除外します(あくまでも一旦除外、頭の中にはシッカリと入れておく)。

理論上納得が行かない事でも、聴感上差が出た事は、最重視。
此れを、理論上で納得出来る仮説を立てます。

この仮説が正しいのなら、次の実験での結果が想像出来ます。
その実験をB。最初の仮説での条件をAとしますね。
もし仮説が正しいのでしたら、じっけんBは予想通りの結果に・・・。
で、そうは問屋が卸さない(笑)。

予定と違う結果が出ます。
此れは失敗ではないんですね。正しい理論に近付いているのです。

実験Aと実験Bの結果を納得させる、仮説を立て直すのです。

新しい仮説に基づく実験Cを・・・・・。

仮説が正しければCは予想通りの結論に・・・・。
違ったら実験Dを・・・。

こうして仮説の正しさを立証する以外、正しい理論は導く事は出来ません。

で、この様な経験を沢山積むと、仮説のハズレも激減します。

昔(量販店時代)こんな事が有りました。

カートリッジとシェルを接合する2,6mmのビス。
アルミと鉄で再生音が違うんですね。使用したカートリッジはDL103。

同席したお馴染みさん。皆金属の共振との意見を言ったのです。
僕は?

鉄の方が音が悪かったのですね。付帯音が多く、歪っぽく聞こえるのです。
僕の感覚では共振ではない。

其処でプラスチック(ナイロンと思える)ビスに交換。
結果はアルミと同じ音がしたのです。共振なら考えられませんよね。

僕の出した仮説は『磁気歪』。

MCカートリッジの殆どは、ボディがプラスチック。磁気シールドがされていません。つまり周りに磁気回路が漏れているのです。
その磁気回路の途中に、磁性体として余り好ましくない物が進入。磁気歪を起こしたと想像したのです。

オーディオの勝負は再生音。耳でのチューンが大切ですが、たった一度の実験で仮説を立てると危険です。
その結果は、あくまでもその場所でその装置での結果。他の所でも同じ結果が出る保障は無いのですね(ですから僕は、パーツの音を他人には絶対に言いません。僕の所の結果が、人様の家でも出る。と言う自信が有りませんから)。

それを保障するには、沢山の実験をして、仮説の信頼度を上げるしかないのです。

と言っても、一般の方には必要の無い話です。ご自宅でよい音が出れば良いのですから。

でも、僕の様に、人様の家で、思った様な再生音を出そうと思えば、この仮説の信頼度を上げるのは、非常に重要なのです。

逆を言えば僕の所でどんなに良い音を出しても、意味が無いんですね。
お客様の処で、お客様の喜ぶ音が出せなければ・・・。

理論と音が一致すれば、こんな苦労も無いのですが・・・。

オット、僕は失業してしまう(笑)。

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凄い量

注文したコンデンサー。本日、大多数が入荷。
見て下さい。この量・・・・。

納品書の金額に唖然・・・・・・。

全ての数には一部足りない。で、全部揃ったら入れてね。
とは行かないんですね。

向こうも商売。商品の出荷は早くしたい。
現在ある分だけ、先に入れて貰ったのです。

残りは今月末の予定。
向こうも、こんなに大量に売れるとは思っても見なかったみたいで・・・・・。

ネットワーク。アンプなんかから比べたら、弄り代が少ない。良いネットワークが欲しかったら、材料で勝負・・・・・・。

でも、お金が掛かるんだよねー。

僕のオイロダイン。10年近く前に、このコンデンサーに交換。
2ウェイですしクロスも高いし、このコンデンサーの値段も今程は高くなかった。

でも、当時の値段でコンデンサーだけの値段、¥150000。
僕でも悩みましたよ。

其の時の悪友の言葉。
悪『ピンキーさん。今迄、オイロダインにいくら使ったの。それを考えたら、ここでケチっちゃこれ迄の苦労が水の泡。』

人の事だから、気楽に言いやがって・・・・。
そいつは、このコンデンサーを使っていないんだもんね。

クッソーと思いながら、メーカーに電話をしたのを、よく覚えています。でも、今考えると正しい出費だったような・・。
少なくとも『安物買いの銭失い。』はしなくて済んだ様で・・。

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今回受注した4ウェイネットワーク。

クロスが低いので、コンデンサー容量もかなりなものに・・・。
で、今回のオーダー、僕の気に入っている一番良いコンデンサーで・・。

ウーーーーン。このコンデンサー。音は勿論良いのだけれど、最大容量が3,3μ。つまり大容量と成ると、このコンデンサーを沢山パラうと言う・・・・。

計算から出たコンデンサーの数。なんと58個。1個¥7000以上するのですよ・・・・(大汗)。

勿論それだけではなく、他に小容量のコンデンサーも沢山。

こんな数、メーカーでも持っていないんじゃ・・?
直ぐに必要ではないけれど、発注、即入荷は難しいと思ってメーカーに電話。

ヤハリ・・・・。全数をそろえるのに1箇月近く掛かると言う。
直ぐに手配して下さい。

何しろこの様な特注品。コンデンサーとコイルを取り付ける板を作るのだけれど、部品が全て揃わないと、板のサイズが判らない(伊藤喜多さんも言っていましたよね。抵抗1個でも揃わないうちにはシャシ図面をひいちゃ駄目って)。

現物を前にしての図面は、単にサイズだけではなく、線の引き回しや見た目のバランス等もシッカリと考えて作られるのです。

部品が全部揃って(コイルも巻き終わり)、初めて部品の配置が決まり、取り付け板のサイズも判り・・・・・・。

で、そのサイズの板、集成材を使いますから、此れも特注品。
板が手に入ってから、塗装を開始。

塗装が十分に乾いてから、ヤット組み立て開始。

そうなのです、気の遠くなるような時間が・・・・・・。
良い物を作りたい。そんな気持ちが無ければ、途中で投げ出したく成るくらい手が掛かります。
僕を信用してくれているお客様です。頑張りますよー。

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昨日、一昨日と二日かけて行って来ました測定の旅(笑)。
雨に遭わずに大助かり。

ヤハリ、測定をしないと判らない事がいっぱい。
更にエンクロージャーの仕組みも、現物を見ましたので、配線の引き回しにも良い方法が・・・・。

一般にネットワークはスピーカーの付属品。
結果、スピーカーシステム内に組み込まれます。

でもね・・・・・・。

電気的に考えると、ネットワークはアンプの近くが理想的。

今回のお客様。パワーアンプの周りに十分なスペースが。
此れならば、ネットワークの置く位置に苦労をしません。

インピーダンス、クロス周波数も判りましたので、これから定数の計算。

何度もして来た作業ですので、さっさと出来ますが一つ問題点。
各ユニットの能率の測定は出来ないんですね。

まず高域ユニットのホーンの能率は、結構高い筈。
此れをアッテネーターだけで絞ると、音質を損ねます。

こんな時にはアッテネーターとユニットの間に固定パッドを付けるのですね。

この値はネットワークの完成後、現地での調整です。
僕の作るネットワーク。なんと手の掛かる事か・・・・・・。

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準備

オイオイ。遂にオーディオのブログにもバイクが登場かい?
イエイエ。間違いではないんです。

明日からの出張の準備。遠距離ですので忘れ物が有ったら大変。
と言う事で、今日は殆どその準備に費やす予定。

バイクで済む用事。

スピーカーのインピーダンス測定です。

数日前にアップしましたよね。4ウェイシステムのネットワークを受注したと。

基本的にメーカー製のシステムですから、メーカーの発表データーで製作する事は可能です。

でも、それは単に音が出たレベル。そのシステムの能力を本当に発揮させたか、と言われれば50%も出せたかどうか・・・?

ネットワークの定数の計算式に、必ず出るのがユニットのインピーダンス。

まあ、嘘つきとは言いませんが、実測した事有ります?

よくもまあこんな値で8Ωなんて言ってくれるよね。なんてのがゴロゴロ。特に海外製品は酷い。

大体インピーダンスなんて、周波数で面白いほど変わる。
一番問題な、クロス周波数でのインピーダンス測定は必須。

更に、メーカー指定のクロス周波数も守りません(笑)。

各ユニットにサインウェーブを入れて、スイープします。

そうすると、各ユニットが『この周波数は入れちゃイヤ。』って言い出すんですね。

この辺は長年の慣れですね。初めて聞いても判らないと思います。

各ユニットが『入れても良いよ。』と言った周波数を分配するのです。

此処で問題。入れても良いよ。と言った部分が各ユニットでオーバーラップしてくれれば、話は簡単なんですが、オーバーラップしない場合が殆ど。

この場合は、低域側のユニットに頑張ってもらいます。

明日測る4ウェイ。ミッドバスがウーハーの影響を受けない様に、エンクロージャーの内部で小部屋に仕切って有ります。

この小部屋が小さい。ウーハーとミッドバスのクロスはメーカー指定よりも上げる様かも・・・。

更にドライバー。ホーンが小型なのに、結構下迄使っている。この辺も要チェック。

メーカー製のシステムを、僕が弄くってどこまで行くか?
結構楽しい仕事では有るんですね。

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今日はチョイ辛口に(何時もか、汗)。

インピーダンス補正回路

上記の図面、典型的な2ウェイのネットワーク。標準的な12dB/octの回路です。

で、赤で書いて有る抵抗とコンデンサー。チョットかじった方ならご存知の、インピーダンス補正回路。
コーン型ユニットだけに必要です(コンデンサースピーカーは逆カーブが必要かも?、笑)

コーン型ユニット。周波数でのインピーダンス変動が大きく、特に高域に向かうと、とてつもなくインピーダンスが上がるのですね。

それを補正する為に、パラにコンデンサーを入れて高域の上昇を抑え様との考えです。
R1は高域でのインピーダンスの下がり過ぎを防ぐ為の抵抗。

上手く出来た回路と思いますか?
僕はこの回路が大嫌い。絶対に入れません。

よく考えましょう。確かにアンプ側から見たら、インピーダンス変動が抑えられ、アンプは設計どおりの動作をし易く成ります。

でもね・・・・・・。
ウーハーに加えられるべき高域成分は、コンデンサーでカット。
アンプから出た信号は、全てスピーカーに加えないと・・・・。

つまり、アンプの設計者は、スピーカーのインピーダンス変動を嫌うのですね。
で、スピーカー屋さんに無理を言った。『オイ、インピーダンスのフラットなスピーカーを作れよ。』

アノネー。スピーカーは今の構造を根本的に変えない限り、インピーダンス変動は出るんだよ。
だったら、インピーダンス変動に目茶強いアンプを作れば良いだけじゃないか。自分の腕を棚に上げて、スピーカー屋さんに責任転嫁。

第一、定電圧駆動アンプなんかにしちゃうから、インピーダンス変動に弱く成っちゃうのに。

過去の名機と言われているスピーカー。インピーダンス変動に対する小手先の誤魔化しをしていません。

結果、定電圧駆動の最近のアンプでは丸っ切り鳴らせない。
その辺の意味を勘違いしている輩が、昔のスピーカーは昔のアンプで無いと鳴らない。なんてしたり顔。

昔のアンプは定電圧駆動で無かっただけなのに。

今の技術で、定電圧駆動を目指さないアンプ。昔のスピーカーも現在のスピーカーもキッチリと鳴らせます。

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昨日、暫らくぶりのお客様からメール。
以前、アンプのオーバーホールやなにやらと、色々と仕事をさせていただきました。

じっくりと良い仕事をさせて頂けますので、僕にとっても楽しい仕事をしています。

今回のメール。
大型の4ウェイシステムを手に入れた。そのネットワークを作って欲しい。

ハイ、この様な仕事、腕が鳴ります(笑)。

今迄見て来た、沢山のメーカー製システム。ネットワークで感心した経験ゼロ。チョット酷い。

4ウェイとも成りますと、かなりの大型ネットワークに成ります。
エンクロージャー内に納めるのは無理。

外出しですので、見栄えも良くしたいですし・・・・。
でも、コア入りコイルが作れる様に成って良かったです。

4ウェイに成りますと、ウーハーとミッドバスのクロスは低い。結果大型のコイルが必要に・・。

空芯では無理が有るのです。

大量に購入した純鉄の丸棒。意外と早く使い切りそうです。

さて、チョット遠いですが、ユニットのインピーダンス測定に行かなくちゃ。

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コイル容量

此処毎日の仕事はコイル巻き。
結構疲れる仕事です。
しかも今回はコア入り。

以前にも書きましたが、僕は基本的に空芯コイル派。市販のコア入りコイルは、コアの磁気歪の付帯音を感じます。

でも、大容量のコイルに成ると、空芯では半端のターン数ではなく、凄い量を巻きます。

コイルを沢山巻く。つまりスピーカーケーブルを長くしたのと同じなのです。

結果、シリーズに入っているユニットの反応は鈍いものに・・・・。

磁気歪の少ないコア材。そこで純鉄を選んだのです。
結果は非常に良い物に成りました。

最近はウーハーにシリーズに入るコイルは、純鉄入りが標準に・・。

で、問題点。
空芯コイルは周波数での容量変化が少ないのですが、コア入りは無視出来ない変動をします。

仕方が無い。周波数を限定した容量表示。

量産品には出来ない手法。でも音の為です。無視出来ない音の変化。
自作は、最高の贅沢な行為です。

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