昨日、チョークインプットとコンデンサーインプットについて、チョット書きました。
更にくだけて・・・。
要は、整流管で整流された電流(直流では有りません。サインウェーブの下側が上に成っただけの脈流です)。この侭真空管に流すと、もろハムが出ます。そりゃそうですよね。電圧が1秒間に100回(関西なら120回)も上下するんですから。
此れを問題ない範囲までなだらかにするのがリップルフィルター。
チョークは電流変動に抵抗を持ちますし、コンデンサーは電圧の高い時には充電を、電圧が低く成ったら放電を繰り返します。
この作用で、脈流がなだらかに成るのですね。
で、此れをリップルフィルターと呼びますが、方式に二通り。
上図の様に、コンデンサーにまず入れる方式。
下のチョークに入れる方式。
夫々長短が有ります。
まずコンデンサーインプット。フィルター効果が高い。そりゃそうですよね、チョークの前で充放電をするのですから。
電源トランスのB巻線の、√2倍の電圧が理論上は出ます。
つまりAC200Vを整流すると280Vが出てくる計算です。
只此れはあくまでも理論上。シリコンダイオードですと計算値に近い電圧が出ますが(電源トランスの容量がたっぷり有る場合)、整流管ですと、かなり下がります。直熱管ですと更に。
この出力電圧、最初に入れるコンデンサーの容量でかなり変わります。
大容量ほど電圧が上がる(理論値に近付く)のですね。
そう成ると、直熱管にはきつい。元々内部抵抗が高く、電圧が稼げないのに、コンデンサーの容量も大きく出来ない。
で、この回路の一番の弱点。レギュレーションが悪い。つまり取り出す電流が大きく成る程、出力電圧が下がります。
オーディオ回路は、信号で電流変動を起こして動作をしていますので・・・。
対してチョークインプット。
出力電圧はAC電圧の略8割程度。つまりかなり電圧が下がります。
最初のチョークの容量でも電圧が変わり、大容量(インダクタンスが高い)程、出力電圧は下がります。
でも、コンデンサーインプットのコンデンサー容量ほどの変動は有りません。
リップルフィルター効果も薄いので、もう1段チョークを通さないと、十分な直流に成りませんし。
じゃあ、長所は無いのか?
此れがたった一つ有るのです。レギュレーションが良い。つまり出力電流によっての、電圧変動が少ないのですね。
長所は此れだけです。
しかも最初に入れるチョークには、リップルがまともに入りますので、チョークインプットで使えます。と成っているチョーク以外は使えません。
オット、長所がもうひとつ。一般の電源トランスはコンデンサーインプットを想定しています。
チョークインプットで使いますと、トランスの最大電流をオーバーできます。
どの程度か?
それはトランス其の物が、どの程度の余裕を持っているかで変わりますので。
ちなみに僕が電源トランスを頼む時は、コンデンサーインプットで使うと言って発注し、それをチョークインプットで使いますので、トランスの余裕は万全です。
で、こんなに面倒なチョークインプット。
なぜ僕が使うのか(僕のアンプは100%チョークインプット)?
実験して見て下さい。僕が使う理由が判る筈です。
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック