平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
修理に2ヶ月も掛かってしまったパワーアンプ。
長引いた一番の原因は、単なる修理では無く、最新バージョンへのグレードアップ。
途中で方針変更を何度もしましたしね(笑)。

無事に2台とも完成して昨日の納品。

片道車で1時間少々です。

早速取り付け音出し。

イヤ、こうも変わると笑うしかない。今回の音を聞いたら今迄の音は・・・・・・・。
まあ、40年間の僕とパーツの発展に乾杯です。
外見上はブロックケミコンが消えた程度ですが、中身は略新品。
初段管もEF86をECC82へ変更したのは大正解。
やはり、5極管の三結と純粋な三極管では違います。

じゃあ、40年前になんでEF86を使ったのよ?

エーーー、ゲロしちゃいますね。LUXの真似をしたにすぎません。懺悔のいたりです。
要は、韓国や中国レベルだったと言う事です(少しは変えていましたが)。

此処で問題発生(今迄もでしたが)。ムラード回路はNFを掛けるのが前提のゲイン配分。ノンNFですので入力感度が高い(300mv入力でフルパワー)。その為に入力にVRが入れて有るのです。
で、パワーアンプ入力VR。無い方が音質的にはGood。

其処で僕のアイディア。プリの出力段に600Ω出力のトランスを入れればゲインが下げられるし、プリの出力インピーダンスも下がるので、接続シールド線の影響もムチャ少なく成るし一石二鳥。

余計な事を言っちゃたかなー・・・・。



チョイ煩く・・・・。
600Ω出力と書きましたが、トランスのインピーダンス表示はハッキリ言うと嘘です。
受ける側のインピーダンスでトランスのインピーダンスは無茶苦茶変わります。
僕が愛用していルンダール。巻き数比だけの表示でインピーダンスは表示されていません。
表示されているのはOPTのみです。OPTの場合は受け側がスピーカーですのでインピーダンスが判るからですね。
正直、インピーダンス表示のされているトランスを使っていた当時、この問題に頭を抱えていました。トランスのインピーダンスって何よ・・?
メーカーに質問した事も有りました。酷い所に成ると計算式を教えてくれたのですが、その計算式はリアクタンスの計算式だったりして・・・・・・。
残念な事に、日本のこの辺の雑誌記事はインピーダンス表示のされているトランスを使ったアンプの製作記事ばかり。
それを見ながら制作している方達には、インピーダンス表示のないルンダールは使い方が判らず、結果全然売れないみたいです。

たかがトランス、されどトランス。

あ、先のゲインの高過ぎるパワーアンプ。もう一つの解決策は位相反転段を取り外し、良質のトランスで位相反転(この方法が一番高音質を得られます)。
その場合、プリアウトのトランスは要らなくなる?
と言うのは間違いで、プリアウトで減圧した分、パワーアンプ入力に同じ巻き数比の昇圧トランスを入れるのが正解です。

更に更に・・。
故人で日本のオーディオ界ではほとんど神様扱いの大先生。
執筆も多数あり、僕も全てを読破しました。
その中の一文。『戦後間もなくの日本製のトランスには巻き数比だけしか表示が無く、アメリカ製にはインピーダンス表示が有った。』
確かに、当時の日本製のトランスは粗悪品だらけだったと思います。でも表示は正しかったですよね(笑)。

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先のブログアップ後、深呼吸をして位相反転段の真空管を挿し込みます。

まず、動作点のチェック。要は位相反転段に予定通りの電流値が流れているか?
エーーー、一発合格です(喜)。

初段管のプレート電圧が若干低かったのですが、自己バイアス回路なので、自己調整作用が有ります。直結回路を固定バイアスで組んだら大変だろーなー。と思う一瞬です。

此れで全ての真空管に予定通りの電流が流れました。此処迄出来れば略完成。
最後の健康診断。
勿論、発信機から正弦波を入れて、出力端子にダミー抵抗を取り付け、その抵抗の両端の波形を観測します。

これをしないで、耳でのチェックだけのアンプを僕は信用しません。耳では絶対に気付かない病気を持っているアンプって結構多いのです。
この様なアンプは、スピーカーや音楽ジャンルを選びます。
たかがアンプです。音楽を理解している筈も無く・・。

で、1KHzの出力波形(これが歪んでいたら最低のアンプ)。



極お馴染みの波形が映し出されました。
勿論最大出力と周波数範囲も測定。ノンクリップで15W強。
その状態で30Hzから30kHzを無事に出してくれます。

まあ、真っ当な設計のアンプでしたら、NFを掛けなくてもこの程度は出せるのです。

回路図のあちこちに抵抗器の値と電圧を書いて完成です。
さあ、もう一台。


これから歯医者へ行くので、今日は此れでお終い。明日一日で出来るかなー・・・・。
エーー、1台目と2台目に掛かる時間は全然違い、2台目は1台目の1/2~1/3の時間で作れます。
要はコピーモデルを作るだけですので。

軽い追記。普段僕が作っているEL34三結アンプよりもわずかに高出力。どちらもAクラス動作ですのでプッシュプルにしても2倍の出力です。
僅か2Wの差なんですけどね(笑)。
この違いは電源電圧の違いです。LUXキットのトランスをコンデンサーインプットで使いますと、僕が普段作っているアンプよりも10V近い高電圧が出ます。
更にルンダールの出力トランスの一次DCRが高めですので、更に出力管に掛かる電圧が下がります。

兎に角出力を稼ぎたいのなら電源電圧を高く設計しないと無理なんですね。
その為、同じ電源を使うと固定バイアスの方が自己バイアスよりも高出力が稼げます。
出力管に掛かる電圧は、対シャシでは無く対カソード。
真空管の動作を理解している方ならごく常識ですよね。
自己バイアスはバイアス電圧がカソードに掛かるので、実際の電圧がその分下がり、結果的に出力が下がります。
この辺を考えて、メーカーは固定バイアスを使うのかと思っていたのですが・・・・・。

単に電源電圧を上げれば・・。と考えても、そうすると其処に使うコンデンサーの耐圧も問題に成ったりして・・。

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昨日のうちに配線は完了。勿論、初段管の変更(EF86→ECC82)に伴う配線の変更も完了。
昔でしたら即動作チェックへ入るのですが、今は昔みたいに頭の集中力が維持できません。頭の疲れを感じるのですね。こんな状態で動作チェックなんかすると、くだらないミス(判断ミス)を引き起こします。
と言う事で、昨日は配線完了でお終い。

今日の朝食後、食休みを十分に取り(胃が活動していると脳への血流が減ります)配線ミスを徹底的にチェック。
初段管が変わっていますので、この辺の定数も結構変わります。
電卓片手に計算。この辺だなと言う抵抗値へ交換。

狙いの初段管プレート電圧は71,5V。
動作をさせて落ち着いたころ合いに電圧チェック。
出て来た電圧は70,5V。普通なら大成功です。

で、問題は位相反転段との直結。
つまりこの電圧が次段のグリットに掛かりますので、この電圧の高低で次段の電流値が変わってしまうのです。
だから直結は・・・・・・・。

初段の動作点チェックの時には位相反転段の真空管は抜いて置きます。
万が一予定よりも高い電圧が出ますと、次段(位相反転段)に異常電流を流してしまうのですね。

じゃあ、直結を止めてコンデンサーを入れちゃえば?
エーー、位相反転段の下側はカソード電圧の変動で動作をしています。
結果、高抵抗の入っているカソード電圧は高いですので、グリットにもそれに見合った高電圧を掛けないと位相反転段に真っ当な電流が流れません。

この辺を直結と言う方法で解決しているのです。

そんな訳で、この辺の調整は結構シビアですが、それを楽しいと思ってしまうピンキー君は・・?

この辺の調整が楽しくなく苦痛に感じたら頭が疲れている証拠ですので、休憩が結局一番の近道です。

ハイ、次段の測定前の休憩中にこのブログをアップしています。

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僕の拘りで、とんでもない時間が掛かっているパワーアンプの修理。
修理と呼んでも良いのかさえ?

で・・・。


ヤット電源が決まりました。タイマーとリレーも正常に動作。
各部の定数(抵抗値)を計算するには、電源電圧が決まりませんと先へは進めません。
オッチョコチョイのピンキー君は整流管が違うのに気付くのが遅く、とんでもない遠回りをしたのです。

使う整流管が決まり(偽物ですが音の良さは実証済み)、ヤット電圧が決まりましたので(整流後の電圧は実測しないと判りません)、各部の抵抗値の計算に入れます。
先の回路図のナンバー・・。


もう7枚目です。定数を書き込んでいない回路図を取り込んでいなかったら、何度も書き直した汚い回路図に成る所でした。
この辺も過去の失敗から学んだところです。

ヤット完成が見えて来ました。



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遅々として進まないパワーアンプの修理。
勿論、単なる修理だけでしたらとっくに出来上がっています。
でもね・・・・・・・。

制作したのは40年近く前。当時の僕には理解が不十分だった所が沢山有り、今の目で見ると拙いよねー・・(あ、メーカー製は此の問題点に気付いていないのか、目をつぶっているのか対処していません)。

要は、真空管が正常動作をする前のヒーターを温めている時間。この辺の問題に気付いた僕は結構前から電源にタイマーを仕掛けて、真空管が十分に温まってから電源を立ち上げています。勿論瞬間に規定電圧に上げるのではなく、2~3秒かけてジワーと上げているのですね。

今回のアンプは直結回路。二つの真空管に同じ時間で温まって欲しいのですが、世の中そんなに甘くなく・・・。
ほんの10秒位なんですが、位相反転段に異常電流を流してしまうんですね。まあこの程度で直ぐに壊れる事は無いのですが、長期の使用を考えるとやっぱり拙い。

そんな訳で・・・・・。


無事に(本当は無事じゃない、汗)取付完了したタイマーとリレー。此のタイマーで整流管のフィラメントの点灯を遅らせるのです。フィラメントですから、電流が流れても正常電圧が出るには2~3秒掛けてジワっと上がるので他の真空管に優しいのですね。

で、上の写真を拡大しますと・・・・。


タイマーソケットとシャシの間に隙間が有ります。最初これを設けなかったので底板がゴチン。
原因はこの部分。


底板が曲げて有り、シャシ側板の内側に入るのです。その側板にソケットを取り付けたのでゴチンコ。

そんな訳で・・・・・。


この様なスペーサーを作りました。昨日レシプロソーで切断したのはこの板です。
3mm厚の板は切り売りをしてくれません。定尺で買ったらとんでもない大きさで(エブリーに積めません)、何とか切り端を持っている工場が無いかと探したのですよ。

ヤット見つかったのは、必要量の3倍の板(ただで貰えましたけどね)。レシプロソーの活躍で必用サイズよりチョイ大き目に切断し、フライス盤で望む寸法に仕上げ穴加工。
これ、時間工賃で計算したらタイマーの部品よりもはるかに高いかも(笑)。

兎に角、タイマーソケットの取り付けは二転三転しまして本日無事に取付完了。底板も無事に付けられる事を確認しました。

なんでこんなに拘ったのか・・・。
ハイ、長期に安心して使えるアンプにしたかったのです。



一般市販の真空管アンプ。真空管の寿命が短か過ぎますよね。

オット追記です。以前に僕が作ったアンプでタイマーを内蔵していないアンプへのタイマー装備加工を受け付けます(一般市販のアンプは申し訳ありませんが難しいです)。実費で行いますので興味のある方はご相談ください。只、仕事が込み合っていますのでお時間は可也いただく事に成ります。

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当初の予想よりも大掛かりに成ってしまったパワーアンプの修理。

今回の大前提。僕よりも寿命が長い事(笑)。
そう考えますと、電源のタイマーは入れたい。

今回、アンプのウォームアップ中(真空管が正常動作をする前、暖気中)の各部の電圧を計ったのですよ。

現在作っているアンプは此処の所を凄く重視しています。アンプの寿命に大きくかかわる部分ですので・・。

今回のアンプ、直結回路ですので(LUXも沢山使っていますよ)此処は更に重要です。
で、目の前クラクラ。本当にオイオイの電圧(電流)が出たのです。真空管が温まって正常動作をすればOKなんですがこの異常電流を流す10秒間。永年の使用には可成り拙い。

整流管を使って此れですので、シリコンダイオードの場合は・・・(怖)。

一般市販のアンプの真空管寿命の短さの原因の一つと思われます。

本物のGZ34の場合は立ち上がる時間が他の真空管よりも長いので助かりますが、偽物は直熱管。
ホンの2~3秒で立ち上がります。此の弊害をなくすにはタイマーを使って整流管の立ち上がるのを遅らせるのが一番です。
シリコンダイオードの場合は、タイマーを使っても瞬間に立ち上がるので真空管に対する電圧の掛け方としては如何なものかと・・・。

で・・・・・・。

新しく取り寄せたタイマーとリレーのソケット。

僕が今迄使っていたソケットは新しく設計するシャシを前提に採用しています。
今回は、そのソケットの取り付けを色々と検討したのですが無理。

オムロンのカタログと首っ引きで探したのがタイマーの付いているソケットです。
今回のシャシは深さが浅いのでギリギリの寸法。

これから、あーでもないこーでもない、とシャシの中に取り付け可能の位置を探します。

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EL34 PPモノラルアンプの修理。
取り敢えず1台目の動作チェックは成功。

で、2台目に掛かりました。
1台目と同じ定数で組んだのですが・・・・・・・・。

まあ普通に真空管の電流を計りますよね。
少ないんですよ。特に出力管の電流が・・。

なんで?

で、元々の電圧を計ったら50V近く低い。ウソッ・・・・。

ハイ、ピンキー君はオッチョコチョイです。
アンプを正面からジックリと見たら気付くのが普通。

2台のアンプの整流管が違っていたのです。
最初の1台には本物のGZ34。
2台目には前にアップした偽物GZ34。



写真左の小型の方が本物です。
この場合問題に成るのが、お互いの真空管の内部抵抗。
偽物の方が大きいのです。

結果整流後の電圧に50V近くの差が出てしまいました。
この辺もコンデンサーインプットの使いにくい点ですね。

2台動かして、初段管のEF86は、片chの電流値が落ちていました。
いま、良質なEF86って有るのだろうか?
最近は全然使っていない真空管なので、自信が無いのです。

それなら使い慣れているECC82にしちゃえ(笑)。

初段管をEF86に拘る必要なんて全然無いのです。

と言う事で、またもや設計変更です。

マニアの方は、整流管を差し替えてこちらの方が音が良い。なんて判断していますが、出力電圧を計っていますか?
電圧を同じにして聴き比べないと基準点が変わって来ますので・・・。

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真空管動作点の調整に入ったパワーアンプ。
直結で無けりゃチョチョイのチョイなんだけど、初段管の動作点を弄ると次段の位相反転段も大きく変わる。
直列に繋がったシーソー2台を水平にする感覚。
で、結果的に手持ちの抵抗器では調整不能。抵抗値の手持ちは有るんだけどワット数が足りない。

またもや商社に何種類かの抵抗器を発注。

普通、高抵抗には電流を流しませんので1/2Wで十分です。そんな訳で1Wクラスしか手持ちがない。今回は電流を流すので2Wクラスが必用。

ゲロしますと、EF86を使うのは何十年かぶり。要は勘が働かない。ECC82ならこの程度弄るとこうなるぞ。という勘が働きます(不思議と初めて使うECC99の時も働いた)。
単純な三極管では無く五極管の三結ですので、今迄の勘が通用しないのです。

例の回路図。もう5枚目です。
あと何枚必要に成るのか・・・・・・。



なぜにこんなに拘るのか?
簡単です、音を良くする為。正しく言うとアンプの存在を無くす為。
簡単にあの真空管はこんな音がする。なんて言いますけど、動作点の選び方で『エッ、この真空管からこんな音が・・。』

真空管からは音が聞こえません。最終的にはスピーカーから出る音です。そのスピーカーとの相性の良い真空管(正しくはアンプ)に高得点をしてしまう場合が殆どです。
僕は相性の良いスピーカーと言う考えが好きでは無いのですね。
良くも悪くも、つないだ機器の個性を其の侭出すアンプを狙っています。

今回アンプを出されるお客様(例の競争率の高いアンプです、笑)。
その方にアンプを納めさせて戴いた時の言葉。
『なにも足さない、何も引かない。だね。』

当時、この言葉のお酒のコマーシャルが流行っていましたので・・・・・・・。

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