平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
僕の長いオーディオ歴の中で、結構付き合って来たのが励磁スピーカー。
此処の常連さん達でしたら直ぐに判りますよね。

励磁スピーカーって何よ?と言う方の為に・・。

普通のスピーカーはマグネットに永久磁石を使っています。その為に昔はパーマネントスピーカーと呼ばれていました(歳がばれる)。

其のマグネットの代わりにコイルを沢山巻いて電磁石にしたのが励磁スピーカーです。
戦前は良質なパーマネント(永久)磁石を作るのが難しく、ある程度のスピーカーは励磁型が一般的だったのです。

で、結構笑えるのがその電源。戦前だってコストには厳しかったのです。
当時の回路図を見ると成る程。
整流管を出てコンデンサーに入りその後のチョークトランス。
此のチョークを励磁コイルにやらせていたんです(大笑)。頭が良いと言うかなんと言うか・・。

要は励磁型は高級品と言う訳ではなく、良い永久磁石が作れなかった苦肉の策だったのです。

其処から長い日時が立ち、高品質の永久磁石が作られる様に成ると、励磁型は無く成りました。

話は変わり、現代(と言っても40数年前)。僕は有るオーディオセンターの店長さん。
其処へとあるメーカーがセールスに来たのです。
そのメーカー名はマクソニック。ごく普通の永久磁石のユニットの他に励磁型を作っていたのですね。
弱冠20代後半のピンキー君。励磁型の話は知っていたけど現物を見るのは初めて。
まあ、色々と説明(励磁型の優位性)を受けたのですがチンプンカンプン。

数日後、実際に励磁型とマグネット(アルニコ)型を聴き比べたのです(マグネット以外は全て同じ)。
軽いショックを受けました。当時店頭に有ったアルテックのAー7。一番良い時代の物です(エンクロージャーも米松製)。
長年店頭で鳴らされていたので、エージングも十分。
コイツのドライバーを外し、マクソニックのドライバーへ交換。
驚きましたよね、新品のマクソニックがアルテックよりも好ましい鳴り方をするのです。

社長への相談も無しに、導入を即決(この辺で軽い問題が発生したのですが・・笑)。
当時、僕の家にはアルテックとタンノイが同居していました。思い切ってタンノイを放出。

あ、此れも面白い話。使っていたのは604-8G。有名な同軸ユニットです。
で、マクソニックとアルテックのドライバー振動版(ダイヤフラム)。互換性が有ったのです。
マクソニックのダイヤフラムを2枚購入して、アルテックに取り付けたのですよ。もう戻せなかったのですね。
エンクロージャーも、僕の部屋寸法に合わせた物をマクソニックへ特注。
604-8Gの1500Hクロスと言うのは妥協の産物です。
あのホーンでは3kHzが精いっぱい(実測しています)。ウーハー側も、511Bと共通のコーン紙では500Hzも結構厳しい。と言う音楽では重要な帯域が何とか再生されている状態。
そんな訳でマクソニックの1吋ドライバーと専用ホーン(511B)を導入して、其の苦手な帯域を持たせたのです。
効果はテキメン。其の頃から沢山の種類のツィーター選びと言うムチャ楽しい世界へと突入しました。
えーー、長く成りますので 続く・・・・。



あ、軽い問題ですか?
導入して一ヶ月が過ぎた頃、社長室から呼び出し。
何だろう?とのんきなピンキー君。

社長の机の上に一枚の小切手(当時の支払いは口座への振り込みでは無く、担当セールスに小切手での支払いが普通でした)。
宛先を見るとマクソニック(正式には日本音響電気、株)。

で、社長の話『今日経理部長から連絡が有り、今迄取引の無かった会社から結構な金額の請求書が上がって来た。判を押して良いものかを社長に相談をしたい。』

そりゃそうですよね。初めて聞く会社から其れなりの金額の請求書。社長も初めて聞く会社でしたから。

ピンキー君は平気に社長へ説明。『此のメーカーを扱っているのは多摩地区でここだけ(地域での価格競争が無い)。で、シッカリと販売されて、利益も十分に上げられています』。

一応社長には信用されていた(奥様にナイショも僕は知っていたりして・・)ピンキー君。
社長直々にハンコを貰い、経理部長の所へ持って行きましたとさ。

あ、僕はメーカーさんから変な金品は一切受け取りませんでしたヨ。セールスと一緒の食事も割り勘でしたね。その所為か、各メーカーさんのセールスの人達とはすごく仲が良かったです。

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