平成19年4月18日開店。店主の日々の日記です。
夢いっぱいで購入した励磁型オイロダイン。
初めての音出しは完全に絶望のどん底。

それまで使っていたオイロダインと比べると音のエッジがぼやけて、反応が鈍い。
原因を散々調べました。
答えは簡単、コーン紙の劣化。
新品に近いオイロダインを知っているから見つけられるのですけど、エッジがへたっています。
コーン紙も若干ですが腰が抜けている。
ダンパーは変形していて、磁気回路とコイルの前後方向の位置が狂っています。

チョイ外れますが、オイロダインのウーハーの磁気回路。非常に面白い設計でして、ロングボイスコイルとも、ショートボイスコイルとも違います。

無茶苦茶面白い設計で、磁気回路のプレートの厚みとボイス回路の長さはイーブン。
悪く言うと、振動版の振幅が大きく成る程能率が落ちる。褒めてしまうと微小信号に対する能率は最高。

オイロダインを使っていてちょっとした疑問が有ったのです。WEとシーメンス。両方とも映画用に使われていました。日本はWEのテリトリー。つまり日本の映画館はWE系列のPAシステムがメイン。対してヨーロッパは・・・・・・。

で、親しい友人が新婚旅行でヨーロッパへ行ったのです。ナント彼は新婚旅行中にヨーロッパの映画館へ行ったのですね。
帰国した彼に僕は質問『音量はどうだった?』
答えは、小さかったよ。

やはりね。此れでWEシステムとシーメンスの素性の違いを理解したのです。

話は戻し、手に入れたオイロダイン。もう一つ問題を抱えていました。励磁コイルに流れる電流値がドライバーは揃って居ます。ウーハーは1割がた違うのです。
勿論新品を知りませんので、どちらが正常かは判りません。
その後変形したダンパーに合わせてスペーサーを作り、磁気回路の中心を合わせたり、色々と手を尽くしていくと其れ成りに育ち始めて一安心。
以前のオイロダインを忘れてコイツのチューニングに全力投球。

その間、アンプも色々と弄って段々と理想に近い鳴り方に成って来たのです。
其の頃、電流値の多い方のウーハー。冷えた段階でさらに電流値が上がったのですね。
10分程通電をして温度が上がると今迄の電流量。
数ヶ月間(2~3ヶ月)この状態。
仕方が有りませんね。火を吹いてからでは遅いので、クソ重いユニットをフレームから外します。
オイロダインのウーハーには接着剤が使われていなくて(当時、信頼出来る接着剤が無かった)、全てがネジ止め。エッジ部までネジ止めでしたから。
まあ、ダンパー調整の時にも此処まではバラしました。
磁気回路も分解。
出て来た励磁コイル。加熱で紫色に変色。まあ古い機械ですからこんな物。

当時付き合っていたトランス屋さん(マリック)へ℡。
現物を送りますので、励磁コイルの巻き換えをお願いします。巻き枠も作り直してくれると助かるのですが・・。

良い返事を貰えましたので、ドライバーもバラシ、4個の励磁コイルを送りました。

                     つづく


コーン紙のへたりは致し方ありませんが、磁気回路の中心を合わせた事によって可成りシャンとした音に変わりました。
古い機械を買う時には、此処まで自分で出来るか、またはこの作業をしてくれる業者と付き合っているか。このどちらかで無ければ手を出すのを薦めません。
勿論、業者へ頼む場合は、それ相応の出費も覚悟です。
60年前の現状渡しのポルシェを買う覚悟と同じです。

オーディオ機器も劣化するし、手入れが必要な事をもっと理解すべきです。

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